クラウドファンディングとは?どこよりも簡単に分かりやすく解説
クラウドファンディングという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
「クラウド」はネット上にデータを保存する「cloud」ではなく、一般大衆を意味する「crowd」になります。
不特定多数から資金提供を募るという意味で名付けられています。
今回はこの新しいビジネス資金の調達方法「クラウドファンディング」のしくみやメリットなどをご紹介しましょう。
クラウドファンディングの種類
TVのクイズ番組でクラウドファンディングを利用した実例を紹介していました。
それはまったくの個人が自費で老人のリハビリのモチベーションを高めるために、思い出の場所を撮影するための援助を求めたものです。
つまりクラウドファンディングは事業資金の調達だけではなく、個人が行なっている社会貢献のための寄付も募ることができます。
まずは、クラウドファンディングの種類からご紹介しましょう。
寄付型クラウドファンディング
寄付型クラウドファンディングはプロジェクトについて寄付をするタイプのクラウドファンディングです。
出資者には何の金銭的見返りもありませんが、社会に役立つプロジェクトに寄付することで社会貢献をすることができます。
今までの寄付は寄付した後にどのように使われたのか明確にすることは困難でしたが、クラウドファンディングではそれも明確にすることができます。
TVで紹介していたのはこのタイプのクラウドファンディングです。
金融型クラウドファンディング
金融型クラウドファンディングは3つの種類があります。
・株式型クラウドファンディング
未公開株を中心に株式発行によって資金を募る方法
・融資型クラウドファンディング
融資として事業者に資金を提供する方法
・ファンド型クラウドファンディング
あらかじめ決められた配当を受け取るタイプのクラウドファンディング
金融型クラウドファンディングは少額・小口でも投資ができるので、個人でも投資がしやすいというメリットがありますが、日本では法整備が追いついていないためあまり普及していませんでした。
しかし、平成26年5月に金融庁が「金融商品取引法(金商法)」を改正し法整備が整っているので、今後の市場拡大が期待できます。
購入型クラウドファンディング
出資者がプロジェクトに出資することで、金銭以外の商品やサービスを受けることができるタイプのクラウドファンディングです。
これが成立するためにはプロジェクトで提供する製品・商品やサービスが魅力的でなければいけません。
出資者にとっては商品やサービスの先行購入になるので、魅力的な商品ほど成功する可能性が高くなります。
目標金額を設定して、目標額に達しないと資金を受け取れない「達成時実行型(All or Nothing型)」と、目標金額に達成しない場合も資金を受け取ることができる「実行確約型」があります。
購入型クラウドファンディングはプロジェクト自体の魅力が勝負となリます。
クラウドファンディング・サイト
クラウドファンディングができるサイトは日本だけでも100サイト以上ありますが、主なクラウドファンディング・サイトをご紹介しましょう。
日本のクラウドファンディング・サイト
CAMPFIRE | 日本最大規模の クラウドファンディング・サイト。2,400件以上のプロジェクトで10億円を集めた実績がある。購入型。 |
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COUNTDOWN | 世界にチャレンジする人を応援する クラウドファンディング・サイト。クレジットカード会社のジャックスが協賛。購入型。 |
Kibidango きびだんご | 成功率80%を誇る クラウドファンディング・サイト。購入型。 |
Makuake | サイバーエージェントが運営する購入型クラウドファンディング・サイト。購入型 |
Readyfor | 日本初の クラウドファンディング・サイト購入型 |
A-port | 朝日新聞が運営母体で信頼性が高い。購入型 |
JAPANGIVING | 英国のJUSTGIVINGの日本版として設立。寄付型。 |
ふるさとチョイス | ふるさと納税の派生型の寄付型クラウドファンディング・サイト。 |
OwnersBook | 個人投資家が参加できる不動産投資のクラウドファンディング(ソーシャルレンディング)。 |
maneo | 日本初の貸付型クラウドファンディング。 |
FUNDINNO | 日本クラウドキャピタルが運営する投資型クラウドファンディング。 |
日本では圧倒的に購入型のクラウドファンディング・サイトが多い状況ですが、どのクラウドファンディングにもリスクやデメリットが存在します。
次にクラウドファンディングの種類別にメリットとデメリットをご紹介しましょう。
クラウドファンディングのメリット・デメリット
クラウドファンディングは個人や中小企業でも簡単に資金集めができる資金調達支援サービスです。
しかし、手軽なことが出資者・支援者にとってはリスクとなる場合もあります。
最後にクラウドファンディングの種類別にメリット・デメリットを解説します。
購入型クラウドファンディングのメリット・デメリット
購入型クラウドファンディングでは支援者は金銭ではなく、主に商品の提供を受けます。
そのため資金不足で商品開発ができない個人事業主や中小企業経営者にとっては大きなメリットになります。
出資者にはお金を返す必要がないので、商品開発後の負担が軽くなります。
一方で出資者は商品が完成するまでに時間がかかることや、最終的に商品が未完成に終わるリスクがあります。
実際に商品が期限内に完成せず、企画者と連絡が取れないといったトラブルもあるので、実現可能なプロジェクトなのか見極める力も必要です。
寄付型クラウドファンディングのメリット・デメリット
寄付という性格上、リスクはほとんどないのが寄付型クラウドファンディングの特長です。
むしろ一般的な寄付に比べて、寄付金がどのように使われているのかが明確になるというメリットのほうが大きいでしょう。
「ふるさとチョイス」のように地方自治体を対象としている場合は、目的も明確で安心して利用できるクラウドファンディングといえます。
貸付型クラウドファンディングのメリット・デメリット
事業資金を必要としている個人や企業に資金を貸付するタイプのクラウドファンディングで、「ソーシャルレンディング」ともいいます。
事業主にとっては低金利の銀行融資を受けられない場合、5%の利息でクラウドファンディングを利用するほうが、簡単で比較的資金調達コストを抑えることができます。
出資者は銀行の利息に比べて、はるかに高い利回りで運用することができるメリットがあります。
最低支援額は1万円からと手軽なので、個人でも終始できるメリットもあります。
しかし高利回りにはつきもののリスクもあるので注意しましょう。
貸付型も投資の要素が強いので対象となるプロジェクトの安全性、確実性はよく調査する必要がありますが、個人ではなかなか難しいでしょう。
そのためクラウドファンディング会社に調査能力があるかどうかを見極めましょう。
なお、日本のクラウドファンディングの市場規模は2015年度で300億円以上ですが、その9割は貸付型クラウドファンディングで占められています。
株式型クラウドファンディングのメリット・デメリット
インターネットを利用して株式未公開のベンチャー企業や中小企業の発行する株式を購入するのが株式型クラウドファンディングです。
同じ企業の株式は年間50万円までしか購入できず、株式発行もクラウドファンディングでは年間1億円に制限されています。
いわゆる株式型はハイリスク・ハイリターンのクラウドファンディングで、投資した企業が上場すれば大きな利益になりますが、倒産・廃業となれば株式は紙くずになります。
また目標調達額に達しなかった場合は募集中止となることもあるので注意が必要です。
ファンド型クラウドファンディングのメリット・デメリット
あらかじめ決まった配当を受け取ることができ、1万円から手軽に投資することができます。
2~10年という中長期のプロジェクトが多いので、途中でプロジェクトが中止になるリスクが高くなります。
また、プロジェクトが成功しても企業が他の理由で倒産する可能性もあるので、プロジェクトの運営会社の健全性も考慮する必要があります。
まとめ
事業資金の調達方法のひとつとして期待できるクラウドファンディングは、中小企業や個人でも充分に活用することができます。
金融機関からの借入は、堅実な事業計画と確実性がなければ難しいのが現状です。
その点購入型クラウドファンディングでは堅実性よりも、他社にはないユニークな製品や企画ほどプロジェクトが成功しやすいというメリットがあります。
インターネットを利用するという点で幅広い資金提供社を募ることができるクラウドファンディングも、資金調達方法の選択肢に含めてみましょう。