クラウドファンディングにおける税金の扱い

クラウドファンディングを利用して資金を調達した法人や個人事業主はどのような税金処理をしたらいいのでしょうか?

 

近年日本国内でもクラウドファンディングを利用する事業者が増えています。

 

はじめての資金調達方法で税金の扱いにとまどう事業者も多いことでしょう。

 

また資金調達者だけではなく支援者にも税金対策が必要な場合もあります。

 

今回はクラウドファンディングと税金の扱いについて解説しましょう。

 

 

クラウドファンディングの種類別に対象となる税金が違う

同じクラウドファンディングでも種類によって対象となる税金や税金の扱い方に違いがあります。
まずは購入型クラウドファンディングから解説しましょう。

 

購入型クラウドファンディングと税金

購入型のクラウドファンディングは、新商品の開発やサービス提供などのプロジェクトを立ち上げて支援者を募り、資金を調達する仕組みです。

 

出資者は見返りとして商品やサービスの提供を受けるので、税法上は基本的に商品やサービスの売買として解釈されます。

 

そのため税法上も比較的シンプルで、法人は法人税、個人事業主は所得税の対象となります。

 

つまり確定申告をするときに売上高に含めて申告することになります。

 

もちろん経費も認められているので、クラウドファンディング業者(プラットフォーム)への支払手数料は経費となります。

 

寄付型クラウドファンディングと税金

寄付型クラウドファンディングは、購入型に比べて見返りとしての「リターン」が全くないか、あっても寄付金に見合わないものなので、ユニセフ募金と同じ扱いになります。

 

しかし単純な売買と違って、寄付金に見せかけて脱税することを防ぐ必要があるので、税法上の扱いは少し複雑になります。

 

1.資金調達者・出資者がともに個人

この場合、資金調達者は見返りのないお金を受け取ったということで、贈与とみなされます。

 

贈与は年間110万円までは課税されないので、110万円を超えた場合は110万円を基礎控除して贈与税の申告をします。

 

クラウドファンディングでは不特定多数の個人から少額の寄付を集めるケースがほとんどなので、贈与税の対象となることは少ないでしょう。

 

2.資金調達者が個人かつ出資者が法人

同じ寄付金でも法人から受け取った場合には一時所得とみなされます。

 

所得税の対象とはなりますが経費も認められるので、クラウドファンディング業者への手数料を経費として一時所得の特別控除50万円を差し引いた金額が課税対象となります。

 

3.資金調達者が法人かつ出資者が法人または個人

資金調達社が法人の場合は「贈与」ではなく「受贈益」と呼ばれていますが、個人の場合の贈与と同じ意味になります。

 

しかし法人の場合は贈与税の対象ではなく、受贈益によって利益が増加した場合に法人税の対象となります。

 

もちろん経費が認められるので、資金調達の目的となる事業経費も増えるので法人税への影響はほとんどないケースが多いでしょう。

 

融資型・投資型(ファンド型)、株式型

融資型や投資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)を利用しても特別な税金の対象となることはありません。

 

クラウドファンディングを利用して集めた資金で行なった事業で利益が出れば、法人税や所得税の対象となるだけです。

 

その場合、ファンド型の出資者への分配金は経費として計上することができます。

 

株式型に関しては日本初のプラットフォームが2017年4月にオープンしたばかりなので、法整備されていません。

 

しかし、税金に関しては有価証券と同じ扱いになります。

 

国内の企業であれば譲渡対価の5%が非課税売上の対象となります。

 

参考HP:債券・株式の課税仕入区分(国税庁)

 

支援者側の税金

これまでは事業資金調達側の税金について解説してきましたが、ここで支援側の税金についても解説しましょう。

 

購入型クラウドファンディング

購入型クラウドファンディングの支援者はリターンとして得た製品については、購入したのと同じなので消費税以外の税金はかかりません。

 

支援者が個人でも法人でも税金はかかりませんが、事業者として事業に使うためにリターンを得た場合は、税務上の必要経費として計上することができます。

 

寄付型クラウドファンディング

寄付型クラウドファンディングでは支援者が個人か法人かによって税金の扱いが違ってきます。

 

支援者が個人の場合

支援者(寄付者)が個人の場合は資金調達者が個人でも法人でも課税対象とはなりません。

 

寄付をした場合は条件によって「寄付金控除」「寄付金特別控除」などを受けることができますが、寄付型クラウドファンディングの寄付者は対象とならないので注意しましょう。

 

支援者が法人の場合

支援者が法人の場合は法人税に影響する可能性があります。

 

支援金額が費用として提供される範囲内であれば影響ありませんが、費用として認められない場合は法人税の納税額が大きくなるという影響が考えられます。

 

また資金調達側が法人の場合、特定公益法人であれば指定寄附金として損金勘定できる可能性があります。

 

融資型・投資型・株式型クラウドファンディング

融資型・投資型・株式型に関してはいずれの場合も出資した時点では課税の対象になりません。

 

いずれも分配金などの配当を受けたときに利益として計上することになります。

 

融資型と投資型では多くの場合、匿名組合方式でファンドを形成するので、分配金は雑所得として処理します。

 

購入型クラウドファンディングと消費税

クラウドファンディングを利用する上での税金に関して解説してきましたが、購入型では消費税も影響することがあります。

 

基本的に購入型クラウドファンディングは税法上売買とみなされるので、資金調達は販売、リターンの受け取りは購入として消費税の対象となります。

 

購入型では集まった資金はプロジェクトを公開したプラットフォームから振り込まれます。

 

このときプラットフォームの手数料やクレジット決済手数料とともに消費税分が差し引かれます。

 

調達した資金のすべてが消費税の対象となるため、調達資金をどのように使用しても消費税の対象から逃れることはできません。

 

プラットフォームによっては消費税込みで支援金を振り込む場合があります。

 

この場合は資金調達者が消費税の非課税業者であれば、何もする必要はありません。

 

課税業者の場合、集めた資金を消費税がかかる費用に充当した場合はその分を控除して消費税申告をします。

 

しかし人件費など消費税がかからない費用に使った場合は、消費税は「資金調達額×消費税率」の全額となるので注意しましょう。

 

クラウドファンディングが税法上有利な点はあるか?

クラウドファンディングはまだ日本国内での認知度が低い資金調達方法です。

 

そのためクラウドファンディングに特化した課税というのは税法上存在していません。

 

資金調達者からみると、ほとんどがクラウドファンディングで調達した資金をどのように利用するかが課税に影響します。

 

つまりクラウドファンディング自体が課税に影響することはありません。

 

法人税や所得税は資金調達方法によってではなく、最終的に得た利益やかかった経費によって課税されるものだからです。

 

だから特にクラウドファンディングを利用したことが税金を納付する上で有利になることも不利になることもありません。

 

大型のプロジェクトでリターンの価値が110万を超える場合は、贈与税の申告が面倒になるかもしれませんが、そのようなケースは少なくても日本では例がありません。

 

日本国内で単独の購入型プロジェクトで調達した資金総額は1億2,000万円が最高ですが、支援者は1,000名近くとなっています。

 

一人あたりの平均は12万円なので寄付だとしても贈与税の対象にもなりません。
まして寄付型クラウドファンディングではそこまで高額な寄付金単価となることは考えられないので、贈与税に関してはまったく考慮しなくても問題ないでしょう。

 

クラウドファンディングで発生した税金に対する処理はきちんと行なう必要がありますが、課税が原因でクラウドファンディングを避ける理由はありません。

 

まとめ

クラウドファンディングでも事業に利用する場合は税金について考える必要があります。

 

しかし、結論としてはクラウドファンディングの利用で特殊な課税もなく、税法上不利になるという要素はありません。

 

むしろ不特定多数から広く支援を募ることができ、個人でもインターネットを利用して手軽に資金集めが可能というメリットのほうが勝ります。

 

もちろんクラウドファンディングにもデメリットはありますが、デメリットをよく理解した上で利用すれば充分に活用できる資金調達方法です。

 

単独で全額の資金調達は難しいですが、銀行融資など他の調達資金と併用するとうまく活用できるでしょう。

 

まだクラウドファンディングを利用していない事業者は資金調達方法のひとつとして検討してみましょう。