資金調達に強いファクタリングのメリット・デメリットを解説

中小企業経営者が事業資金を調達する方法としては、銀行融資が一般的です。

 

しかし銀行借入には審査時間がかかるため急な資金調達には間に合わないこともあります。

 

そんなときに売掛債権保有企業が資金調達方法として役に立つのがファクタリングです。

 

ファクタリングはどんなしくみでどんなメリットがあるのでしょうか?

 

今回はファクタリングのメリット・デメリットを解説しましょう。

 

 

ファクタリングの種類としくみ

ファクタリングは基本的に売掛債権を譲渡することで売上を現金化する方法です。

 

そのため売掛債権を保有しない現金商売の小売店舗ではファクタリングを利用することができません。

 

主に卸売業などで常に売掛債権を抱えている業種の資金調達方法として適しています。

 

ファクタリングは売掛債権を売却しますが、売掛債権の対象企業に譲渡の事実を通知するかしないかによってその種類としくみが異なります。

 

まずはそれぞれのしくみについて解説しましょう。

 

一括ファクタリング(3社間)

売掛債権(売上債権)を一括で買い取るファクタリングを一括ファクタリングや買取ファクタリングと呼んでいますが、これは3社間取り引きとなります。

 

ファクタリング会社(A)、売掛債権を譲渡する会社(B)、売掛先企業(C)と3社間契約となるのが3社間ファクタリングです。

 

AとBは売掛債権を売買する契約を締結して、その旨をCに通知します。

 

その時点でCは売掛債権をAに支払う義務が生じます。

 

AはBから買い取る条件として手数料を取るので、これがAの収入になります。

 

手数料の他に「掛目」があるので、Bが現金化できるのは売掛債権総額の70%〜80%で、さらに2%〜5%の手数料を差し引いた金額です。

 

ただし、掛目として削られた金額はA売掛債権を無事回収した場合にBに戻すというのが一般的です。

 

Cに関しては売掛債権の支払い先がBかAに代わるだけで特にメリットもデメリットもありません。

 

ファクタリングにおける手数料について

 

一括ファクタリング(2社間)

2社間ファクタリングの場合はCには何も通知せずに、AB間で債権譲渡が行なわれます。

 

Cは何も知らないため通常通りBに売掛債権を支払うことになるので、売掛債権はBを経由してAに支払われます。

 

そのためAにはリスクが生じるので、債権保全の登記をしたり、3社間ファクタリングよりも手数料を高くしたりといった対策を取ります。

 

それでもBは取引先に債権譲渡の事実を知られることがないので、その後の取引への影響を心配する必要がありません。

 

その他のファクタリング

一括ファクタリングの他にもファクタリングのサービスがあるので、それもご紹介しましょう。

 

保証ファクタリング

保証ファクタリングは売掛金が現金化になる前に、取引先が倒産する不安がある場合に利用するファクタリングです。

 

例えば1,000万円の売掛金を800万円まで保証した場合、ファクタリング会社に保証料を支払います。

 

その後取引会社が倒産して売掛金が回収できない場合、800万円の範囲内でファクタリング会社が支払いをします。

 

これにより連鎖倒産のリスクを軽減できます。

 

国際ファクタリング

輸出会社が利用するのが国際ファクタリングです。

 

海外の取引先の信用状況を調査するのは難しいので、世界の一流銀行やその子会社のファクター(ファクタリング会社)で構成するFactors Chain International(FCI)のネットワークを利用して海外取引を保証するサービスです。

 

海外取引先の支払いが延滞した場合、補償を履行して代わりに支払いをするので安心して取引ができます。

 

ファクタリングのメリット

最も一般的な買取ファクタリングを例にとってファクタリングのメリットをご紹介しましょう。

 

リスク回避と現金化

売掛債権を持つ債権者にとってのメリットは、リスクを回避できる上にすぐに現金化することができるという点です。

 

ファクタリングと同じような資金調達方法には手形割引がありますが、受取手形を割引して不渡りになった場合のリスクは利用者が負います。

 

その点ファクタリングは債権譲渡なのでリスクがないというメリットがあります。

 

さらに手数料はかかりますが、即日でも現金化することが可能というのも大きなメリットです。

 

銀行融資と比べると返済の必要がないため、ファクタリングを利用した後で返済に追われることはありません。

 

キャッシュフローの改善

キャッシュフローは現金の流れを示す計算書のことですが、このキャッシュフローがプラスになっていれば会社に現金が残っているということになります。

 

いくら売上が好調でも売掛金が多ければ売上が現金に結びつかず、キャッシュフローが悪化します。

 

ファクタリングを利用して売掛債権を現金化することでキャッシュフローを改善することができます。

 

ファクタリングは借入ではないため、賃借対照表に負債として記載する必要がありません。

 

そのため借入で資金調達をする場合に比べて賃借対照表はスリムになり、銀行融資の必要がある場合でも銀行の評価も良くなる可能性が高くなります。

 

ただしその場合、償還請求権の存在が問題となります。

 

償還請求権なしのファクタリングを選ぶ

償還請求権付きのファクタリングを利用すると、万一ファクタリングの対象となる売掛債権の債務者が倒産した場合、ファクタリング会社は利用者に請求することができます。

 

つまりファクタリングといっても実質的には売掛債権担保融資と変わりないことになります。

 

ファクタリングのメリットを得るためには償還請求権のないファクタリングサービスを利用しましょう。

 

償還請求権付きの場合は一般的に手数料などは低くなりますが、万一のことを考えると手数料を負担してでも償還請求権なしのファクタリングをおすすめします。

 

ファクタリングのデメリット

ファクタリングはメリットばかりではないため、デメリットも充分に理解した上で利用しましょう。

 

2社間ファクタリングのデメリット

2社間ファクタリングでは取引先に通知しないため、売上債権先に債権譲渡の事実を知られることがありません。

 

そのため、その後の取引への影響がない点はメリットですが、手数料負担や諸費用の負担が大きくなるデメリットがあります。

 

ファクタリング会社は直接売掛債権を回収できないため、「債権譲渡登記」を行なって第三者に対抗して債権を保全します。

 

この登記にかかる費用もファクタリングを利用する側の負担となります。

 

・実費
・登録免許税7,500円
・司法書士の旅費22,740円
・登記事項証明書取得費500円?個数
・確定日付(任意)700円
・司法書士費用
・報酬45,000円
・日当20,000円
・債権譲渡担保契約書作成20,000円

 

司法書士費用は多少の違いはありますが、少なくても10万円以上の負担があることは覚悟しておきましょう。

 

3社間ファクタリングのデメリット

3社間ファクタリングでは売掛先企業に対して通知を行い、売掛債権の回収をファクタリング会社が直接行なうことができます。

 

そのため債権保全策は必要ないので、債権譲渡登記に関する費用負担もありません。

 

しかし、取引相手に債権を譲渡したことが知られてしまうので、経営状態が悪いのではないかという疑念をいだかれることがあります。

 

最悪の場合はこれをきっかけに取引停止ということも考えられるので、取引先によっては事前に十分な説明をした方がいいでしょう。

 

手数料負担

ファクタリングも手数料がかかるので、その負担はデメリットになります。

 

しかし、銀行の担保ローンなどと比べると手数料負担は大きくなりますが、返済の必要がない点や現金化が速いところから無担保ローンと比較するのが適切です。

 

銀行融資でも無担保融資の金利は初めての取引では10%近いこともあるので、3社間ファクタリングの手数料5%程度であればむしろ負担が少ないといえます。

 

2社間ファクタリングの場合は15%以上の手数料もあり、さらに登記費用などの負担もあるので大きなデメリットになります。

 

2社間ファクタリングを利用する場合は、手数料負担を充分に考慮してから利用しましょう。

 

まとめ

中小企業経営者は資金繰りの方法は一つだけではなく、複数の方法を持ち適切な方法で使い分けることが必要です。

 

銀行など金融機関の融資による資金調達が一般的ですが、早急に必要な資金の場合はノンバンクのビジネスローンやファクタリングなども考慮しましょう。

 

ファクタリングは売掛債権がない事業の場合は利用できませんが、利用できる環境にあれば返済の必要もなく資金化も速いので積極的に活用してみましょう。

 

資金調達だけでなくキャッシュフローの改善にも役立つので、銀行融資の事前準備としても良い効果を得られるので検討しましょう。