出資と融資の違いとは?

会社経営者にとって融資を受けるのも出資してもらうのも同じ資金調達方法となります。

 

しかし、融資と出資では基本的な違いがあります。

 

資金調達する側は特にそのメリット・デメリットや違いを理解した上で資金調達をする必要があります。

 

今回は出資と融資それぞれの特長や融資と出資の使い分け方などを解説します。

 

 

出資とは?

それではまず出資のメリットやデメリット、特長を解説しましょう。

 

出資の目的

出資とは会社の成長を期待してお金を出すことで、代表的な出資方法として株式投資を例にして解説してみましょう。

 

株式を購入するということは株式会社に投資する(出資する)ということになりますが、投資した金額は戻ってこないというのが基本です。

 

もちろん株式を売却することである程度お金は戻ってきますが、投資した会社から返してもらうわけではありません。

 

株式を譲渡しただけなので、投資したお金を会社に返済してもらったということにはなりません。

 

株式購入による投資の目的は、会社の成長によって株式の価値が高くなることや配当による利益です。

 

いわゆる投資家は成長が期待できる会社の株式を購入し、株価が上昇したときに売却して差額の利益を得ることが目的です。

 

また、株式を長期に保有して配当を得るという目的の場合もあります。

 

いずれの場合も、会社の成長が出資者の利益に結びつきます。

 

出資者の権利

例えば中小企業でも会社設立時に代表者の自己資金だけでは不足の場合、親戚や知人に出資してもらうことはよくあります。

 

この場合、経営者よりも親戚や知人の出資額が大きいと、経営に対する権限が強くなるのが当然です。

 

出資金額の多い出資家は会社の経営が悪化し倒産したときには、経営者よりも損害が大きくなるからです。

 

同じように株式会社では持株比率によって行使できる権限が与えられます。

 

2/3以上

特別決議権を持ち、営業の全部または一部の譲渡等、定款変更、減資、解散、合併等も決議可能となる。

1/2以上

普通決議権を持ち、一般的な決議を決定でき、経営権を取得できる。

1/3以上

株主総会における特別決議を阻止することができる拒否権を得ることができる。

 

このように出資家や投資家には、その出資額に応じて経営権が与えられるという特徴があります。

 

企業の設立時に出資すれば共同経営者という立場にもなるのです。

 

融資とは?

融資に関してはご存知の経営者がほとんどかと思いますが、おさらいとして融資の基本や特長を解説しましょう。

 

融資の目的

融資も事業主にお金を提供し利息という対価を得るため広い意味では出資と同じです。

 

しかし、融資が出資と根本的に違うのは貸し付けたお金(元金と利息)を返してもらうという点です。

 

また、出資する場合もその企業に将来性があるかどうかを調査・判断しますが、融資の審査はもっとシビアになります。

 

金融機関は貸付した金額が回収できない場合、貸倒れとなりマイナスとなってしまいます。

 

特に銀行の場合は貸倒率によって「貸倒引当金」を積み立てています。

 

つまり貸倒れが多くなるほど引当金の金額も増えることになるので、貸倒れの可能性が高い取り引き先には融資しないのが原則です。

 

そのため融資審査も厳しくならざるをえないのです。

 

融資は銀行の3大業務のひとつ

銀行業務には預金・融資・為替という大きな3つの業務がありますが、特に預金と融資はお互いに連動しあっている重要な業務です。

 

銀行は不特定多数の預金者からお金を集めて、取り引き先に融資することで利息を得ています。

 

この利息による利益でさらに預金者への利息を支払うというしくみです。

 

預金と融資のどちらかが欠けても銀行の経営は成り立たないのです。

 

よく「貸し渋り」という言葉を耳にしますが、銀行は返済能力があり信用力が高い取り引き先には貸し渋りはしません。

 

事業資金を銀行融資で調達するためには、まず信用力を高めることが必要です。

 

ノンバンクの融資

ノンバンク系でも融資を行なっており、銀行は銀行法で規制されていますが、ノンバンクは貸金業法によって規制されています。

 

銀行は前述の通り貸倒引当金の義務があるので、厳しい審査が必要ですが、貸金業法では貸倒引当金の義務は規定されていません。

 

そのためノンバンク系金融会社は銀行に比べて審査基準は高くありません。

 

その代わり審査基準が低いということは必然的に貸倒率が高くなります。

 

貸金業者として利益を出すためには貸倒率も考慮しなければいけないので、金利は銀行よりも高くなります。

 

銀行とノンバンクのどちらから借りるかは、利息を優先するか融資実行までのスピードを優先するかで決めましょう。

 

最近では銀行でも金額によっては無担保・無保証人で事業融資が可能なので、無担保・無保証人はノンバンクだけのメリットではなくなっています。

 

総量規制は影響ない

ノンバンクの融資では貸金業法によって年収の1/3までの貸付上限が定められています。

 

反対に銀行は総量規制の対象外なので、総量規制がないことを宣伝文句にしている銀行もあります。

 

しかし、事業資金に関してはノンバンクでも総量規制の対象外となるので、銀行にメリットはありません。

 

事業資金を融資によって調達する場合は、総量規制に関しては考慮する必要がないので、必要とする資金に合わせて選びましょう。

 

出資と融資のどちらを選ぶか?

最後に融資と出資のメリット・デメリットを考慮して、資金調達方法としてどんな場合にどちらを選んだいいのかを検証してみましょう。

 

出資のメリット・デメリット

融資と比較して出資のメリットは返済が不要だということです。

 

出資金は出資者への返還義務がないため、返済を気にせずに自由に使うことができます。

 

配当金を支払うこともありますが、利益がない場合には配当金を支払わなくてもいいので、融資のように赤字でも必ず返済するという負担もありません。

 

出資のデメリットとしては出資者には経営に参加する権利があるという点です。

 

企業経営者としては出資者や株主に配慮して経営しなくてひけないので、経営の自由度が損なわれるという点が企業側のデメリットです。

 

出資者や株主は単なる支援者ではなく、会社の成功を目的とした企業経営者の一人と考えてもいいでしょう。

 

また、一般的な企業では出資者を探すことが難しいというデメリットがあります。

 

出資や投資の対象となる企業は将来性の高い企業や上場企業となるので、すべての企業が対象とならない点がデメリットになります。

 

融資のメリット・デメリット

融資のメリットとしては高額な事業資金を借入しても、金融機関からは経営に口を出されることはほとんどありません。

 

金融機関としてもアドバイスはしますが、あくまで経営するのは経営者なので、破綻しない限り経営に深く立ち入ることはありません。

 

出資に比べて融資は、資金の使い道に自由度が高いというのがメリットです。

 

もうひとつのメリットとしては融資の種類が多いため、必要な資金によって適切な融資を選べるという点です。

 

高額な設備資金は日本政策金融公庫や銀行融資、少額な運転資金はノンバンク系ビジネスローンやカードローンで短期に利用できます。

 

その代わり融資金額は投資額と違って利息をつけて返済する義務があります。

 

つまり融資による事業資金調達はあくまで一時的なもので、本来は自己資金で支払うべき事業資金を立て替えてもらっているに過ぎません。

 

その対価として利息を支払っているのです。

 

出資と融資の選択方法

出資や融資を選択すべきケースとしては次の場合が考えられます。

 

企業設立時の開業資金調達
開業時には設備資金など高額な資金調達が必要となるため、この場合は返済が必要な融資よりも出資を選択した方がいいでしょう。

 

特にベンチャー企業はベンチャーキャピタルなどを利用することで出資による資金調達が容易になります。

 

運転資金調達は融資
創業時以外の設備投資や運転資金の調達は、経営に影響がない融資を利用しましょう。

 

高額な融資は低金利の公的機関の制度融資、変動金利が利用できる銀行融資で対応できます。

 

つなぎ資金や緊急な資金書とへの対応は、個人事業主でも利用できるノンバンクのビジネスローンが便利です。

 

まとめ

出資と融資についてその違いやメリット・デメリットを解説しましたが、資金調達方法はこの2つだけではありません。

 

経営者としては可能な限り多様な資金調達方法を知り、活用できる体制を整えておきましょう。

 

特に融資に関しては国の政策金融機関、銀行、ノンバンクの他に地方自治体も提供しているので、幅広く利用することができます。

 

必要な資金に応じて臨機応変に資金調達することを心がけましょう。