源泉徴収とは?所得税が戻ってくる税制の仕組み

一定以上の所得がある人であれば、だれでも所得税を納める義務があります。
「教育」「勤労」と並んで国民の3大義務のひとつとなっているのが納税義務です。

所得税を収める方法には、毎年確定申告によって収める方法と、毎月自動的に徴収される源泉徴収との2パターンがあります。

今回は源泉徴収にスポットを当てて、源泉徴収の仕組みやどのような場合に源泉徴収されるのか等を詳しく解説しましょう。

源泉徴収の対象者は基本的に給与所得者

源泉徴収はサラリーマンやアルバイトなどの給与所得者、確定申告は個人事業主や法人が行います。

所得税の納付方法として源泉徴収制度の対象となる「源泉徴収義務者」は、圧倒的に給与所得者(会社員)が多くなっています。

納付方法としては毎月の給与から所得税を差し引いて、給与を支払った翌月の10日に事業者(勤務先)が納付するのが基本です。

事業者は特例の承認を受ければ年2回に分けて納付することもできます。
つまり源泉徴収税の課税対象者は給与所得者ですが、実際に納付する義務があるのは事業者ということになります。

源泉徴収税は毎月一定の計算で算出して納付しますが、各種所得控除に関しては考慮されていません。
つまり本来支払うべき所得税よりも多く納付しているケースが多いことになります。
所得税の計算方法については、「所得税の計算方法とは?アルバイトやボーナスの扱いを解説」で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。

この調整をするのが「年末調整」です。

年末調整をすれば、毎年1回、認められている控除を申請することで納めすぎた税金が戻ってきます。

払いすぎた税金が年末調整によって戻ってくることを、「税金の還付」と言います。

年末調整で認められる所得税控除

年末調整では、以下の控除が認められています。

1.基礎控除(一律38万円)
2.配偶者控除・配偶者特別控除
3.扶養控除(38万円~63万円)
4.生命保険料控除(最高12万円)
5.地震保険料控除(最高5万円)
6.小規模企業共済等掛金控除(掛金全額)
7.社会保険料控除(健康保険料、介護保険料など)
8.障害者控除(27万円~75万円)
9.寡婦(寡夫)控除(27万円または35万円)
10.勤労学生控除(一律27万円)

上記の中で配偶者控除に関しては平成30年の年末調整から大幅な変更があります。

平成29年までは配偶者控除は以下のとおりとなっていました。

・配偶者の所得が103万円以下は38万円の控除(配偶者控除)
・配偶者の所得が103万円超~141万円は3万円~38万円の控除(配偶者特別控除)

しかし平成30年からは次のように改正されています。

・配偶者控除の対象条件に世帯主の年収1,220万円以下(所得合計1,000万円以下)が加わる
・配偶者得月控除所得条件が緩和

特にパート主婦にとっては、今まで対象外だった年収141万円~201万円までが対象となるので、有利となります。

しかし、世帯主が高所得者の場合は増税となります。

年末調整後の所得控除は申告が必要

年末調整では申告できない所得控除には以下のものがあります。

・寄附金控除
・医療費控除
・雑損控除

上記の控除は一律に控除額が決められていないので、年末調整後に確定申告をして個別に控除申請が必要です。

また、住宅ローンを利用した場合は住宅ローン控除を受けることができますが、今まで適用した控除後にさらに控除することができます。

初年度は確定申告が必要ですが、次年度からは年末調整が可能です。

これらの控除では給与所得者でも確定申告が必要となりますが、確定申告が義務となっている給与所得者もいます。

・年間給与収入が2,000万円を超える人
・給与以外の副業が20万円以上の人
・複数の給与所得がある人

所得控除は確定申告をしなくても還付金を受けられないだけですが、上記の対象となる人には確定申告の義務があります。

申告をせずに後で税務署に発覚すると追徴金などのペナルティがあるので注意しましょう。

個人事業主でも源泉徴収が必要となるケース

個人事業主は確定申告書による所得税の申告が原則ですが、源泉徴収にも関わることがあります。

基本的に個人事業主が報酬を支払う相手が法人であれば、源泉徴収する必要はありません。
相手が個人であった場合のみ源泉徴収が必要となる可能性があります。

ただし、下記のように源泉徴収義務者でない場合は、どんなケースでも源泉徴収する必要はなくなります。

・従業員が常時2名以下で家事使用人(お手伝いさん)だけに給与を支払っている場合
・給与の支払いがなく弁護士報酬など報酬や料金などを支払っている場合

上記に当てはまらない場合は以下の報酬や料金に対して源泉徴収する義務があります。

1.原稿料や講演料など(デザイン料、作曲料、指導料、通訳料なども含む)
2.弁護士や公認会計士などの特定資格をもつ人に支払う報酬
3.社会保険診療報酬支払い基金が支払う診療報酬
4.プロスポーツ選手やモデル、外交員などに支払う報酬
5.芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬
6.旅館などの宴会で、客に接待をする仕事(ホステスなど)に支払う報酬
7.プロ野球選手の契約金など
8.宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

上記は特殊なケースが多いですが一般的な事業にも関係するのは1と2でしょう。
個人事業主は自分が源泉徴収義務者であるか、義務者であれば対象となる報酬や支払いがあるかどうかを確認しておきましょう。

また源泉徴収された報酬を受け取った場合も、確定申告することで還付されることもあるのできちんと申告しましょう。

従業員の給与と源泉徴収

源泉徴収義務者の個人事業主は、従業員に支払う給与から次の手順で源泉徴収する義務があります。

・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を従業員から毎年最初の給与前に取得
・扶養や給与の金額に基づいて「源泉徴収税額表」から税額を取得
・給与から社会保険料と同じように源泉徴収税額を差し引く
・毎月給料日の翌月10日まで税務署に納付する

源泉徴収税の納付は以下の条件を満たせば年2回(7/10と翌年1/20)の納付にできます。

給与を支払う人数が10人未満で「源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出した事業者

なお源泉徴収税額は税務署に納付するまでは、従業員から預かっているお金となるので「預り金」の勘定科目で処理します。

また、源泉徴収簿を作成して年間を通して管理できるようにしておきましょう。

特に書式は決まっていませんが国税庁のホームページからダウンロードできる書式もあります。

源泉徴収税の計算

源泉徴収義務者の事業主はデザイン料などを支払いする場合に、源泉徴収税を差し引きますが、その場合の計算方法は以下のとおりとなります。

報酬額×10.21%=源泉徴収税額

上記は100万円以下の報酬金額に対する税率で、100万円を超える部分には以下の計算式が適用されえます。

(報酬額-100万円)×20.42%+102,100円=源泉徴収税額

100万円を超える報酬はあまりないでしょうが、計算が違うということは覚えておきましょう。

なお、利子所得や配当所得に関しては源泉徴収されますが、事業所得とは少し違う扱いとなります。

利子所得は預貯金等の利息や公社債の利子、公社債投資信託の収益分配金などがありますが、受け取った時点で源泉徴収されており確定申告の必要もありません。
株式の配当金も源泉徴収されて支払われるので、基本的には確定申告も必要ありません。

しかし確定申告をすると総合課税や申告分離課税を選択することが可能です。

源泉徴収金額が大きい場合には総合課税を選択すると、配当控除も利用できます。

源泉徴収税の具体的な納付方法

個人事業主が源泉徴収税を納付する場合には、ケースによって次の納付書を使用します。

従業員の給与や税理士の報酬

給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書

外注先へのデザイン料などの報酬

報酬・料金等の所得税徴収高計算書

確定申告書などは国税庁のホームページでダウンロードできますが、上記の計算書は直接税務署に出向くか、電話で連絡して送付してもらいます。

記載の仕方については国税庁のホームページでダウンロードが可能です。

まとめ

給与所得者でも確定申告の必要があるケースや個人事業主でも源泉徴収が必要な場合があることがおわかりいただけたでしょうか。

特に給与所得者の場合は、年末調整や確定申告をしなければ、税金が還付されません。
税金を納付しない場合、税務署は強制的に取り立てをしますが、還付される税金に関して税務署は積極的に教えてくれないのです。

そのため給与所得者ほど税の還付に対する知識や情報に気をつける必要があります。

また、個人事業主でも従業員を雇うと源泉徴収税を納付する義務が発生します。
これも忘れてしまうと大きなペナルティがあるので、個人事業主も源泉徴収税に関しての基礎知識を深めましょう。

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