法人向けデビットカードを発行するメリット・デメリット
法人カードは会社や法人代表者、個人事業主が作ることができるクレジットカードで経費を決済に利用することができます。
同じように法人デビットカードは経費決済に利用できるカードです。
個人向けのデビットカード、法人デビットカード、法人カードではそれぞれどんな違いやメリット・デメリットがあるのでしょうか。
今回は法人デビットカードを利用するメリット・デメリットを中心にほかの決済手段との違いも解説します。
法人デビットカードと個人向けデビットカードの違い
まずデビットカードの特長と個人向け・法人向けでのカードの違いを解説しましょう。
デビットカードの特長とメリット
デビットカードは金融機関のキャッシュカードでカードショッピングができるサービスです。
最近のデビットカードではVISAやJCBといった国際ブランドがついているので海外でも利用可能になりました。
海外ATMでは現地通貨で現金が引きだせるので両替の必要がなく、海外の加盟店ではクレジットカードを同じようにショッピングをすることができます。
ただしデビットカードの場合は買物と同時に引き落としされるので、銀行口座に残高がなければ使うことができません。
つまりデビットカードはATMから現金を引き出さずに買物ができるカードです。
個人用デビットカードと法人デビットカードの違い
個人用デビットカードは銀行口座さえあれば15歳や16歳でも作ることができますが、法人デビットカードの場合は新規に法人口座の開設が必要なので簡単ではありません。
個人口座はすぐに開設することができますが、法人口座は開設できるまで1~2週間ほどかかります。
資本金が少ない、事務所がバーチャルオフィスで固定電話もない、事業の実態が不明瞭(定款に事業目的が多すぎる)といった場合は口座開設すらできないこともあります。
個人向けデビットカードは審査がないのがメリットの一つですが、法人としてデビットカードの発行する際には、新規口座開設でも審査があるうえに、すでに法人口座を持っていても審査が必要な場合もあります。
法人カードと法人デビットカードの違い
法人カードと法人デビットカードの違いは簡単にまとめると次のようになります。
- 法人デビットカードの審査は法人カードに比べると簡単で、法人の実態があれば審査は通過する。
- 法人カードはポイントプログラムや付帯サービスが充実しているが、法人デビットカードは付帯サービスがほとんどない。
法人デビットカードの審査は、法人口座が詐欺などに悪用されないように実態のある法人かどうか確認する目的なので、事業を実際に行っているのであればあまり心配する必要はありません。
法人カードの審査は返済能力や資産なども調査するので、デビットカードに比べると審査基準は高いですが、そのかわり後払いができポイントサービスや付帯サービスも豊富です。
法人デビットカードのメリット・デメリット
個人向けデビットカードと法人カードとの比較をしてきましたが、法人デビットカードそのもののメリットやデメリットをご紹介しましょう。
法人デビットカードのメリット
現金を引き出す必要がないので経理業務が現金払いと比べると簡便になります。
またキャッシュカードは1口座について1枚しか発行しませんが、キャッシュカード機能がない法人デビットカードではほぼ無制限に発行することも可能です。
これにより部署別に発行して個別に管理することもできます。
法人口座を持っていれば個人事業主でも法人デビットカードを利用することができます。
法人デビットカードはキャッシュフローが悪化する
すべて法人デビットカードで支払ってしまうとリアルタイムで口座から現金が引き出されるのでキャッシュフローが悪化します。
そのためすぐに支払わなくても良い取引先にはデビットカードは使用せず、後払いを利用するなど使い分けの必要があります。
さらにVISAデビットカードでもすべてのVISA加盟店が使えるわけではないので、使えない加盟店に対しては別の決済方法を使うので手間がかかります。
法人デビットカードを発行している金融機関
それでは具体的に法人デビットカードを発行している金融機関と発行しているデビットカードの特長をご紹介しましょう
■楽天銀行ビジネスデビットカードJCB
- 年会費1枚1,000円(税別)
- キャッシュカード機能なし
- 発行枚数最大9,999枚
- 利用金額の1%をキャッシュバック
- カード盗難保険なし
■ジャパンネット銀行VISAデビット
- 年会費無料
- キャッシュカード機能付き
- 複数発行はできないがカードレスVISAデビットは4枚まで発行可能
- 1日の利用限度額100万円
■住信SBIネット銀行
- 年会費無料
- キャッシュカード機能付き
- 国際ブランドはVISA
- 1,000円で6ポイント貯まり、1,000ポイント以上100ポイント単位で1ポイント1円のキャッシュバック(ポイント還元率0.6%)
- MFクラウドの会計ソフトか確定申告ソフトが3ヶ月無料
- 外貨預金口座(米ドル)から支払可能
- Visaビジネスオファー(ビジネス向け優待サービス)
法人デビットカードの使い方
基本的にキャッシュカード機能を持つデビットカードは節税や経理業務の改善という点ではクレジットカードに劣ります。
そのためどうしても現金払いでなくてはいけない取引先に対してのみ法人デビットカードを使い、ほかの支払はなるべく法人カードで支払うほうが効率的です。
法人デビットカードを発行している金融機関も少ないこともありますが、クレジットカードがあればデビットカードで決済する必要はありません。
むしろ使わないほうがキャッシュフローにとってはいい結果になります。
法人デビットカードを作ることを考えるのであれば、経費対策としてはむしろクレジットカードを利用することをおすすめします。
法人カードのすすめ
法人デビットカードを作ってもすべての支払いに対応できないので、少なくも法人カードと併用することをおすすめします。
法人カードは支払日が一本化され利用明細も引き落とし前に確認できるので経費管理が楽になります。
社員に追加カードを発行することで会社経費を部署別に管理することも可能になります。
メリットの多い法人カードの中でもサービス内容が充実したおすすめの法人カードをご紹介しましょう。
■アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
アメリカン・エキスプレスはクレジットカードのブランドの中でも国際的に高級ブランドとしての知名度が定着しています。
同じ法人カードを作るのであれば会社経営者にふさわしいステータスを示すアメリカン・エキスプレスを選びましょう。
年会費は税別26,000円と一般的なゴールドカードを超えていますが、サービス内容もゴールドカード以上のものを提供しています。
海外旅行向けサービス、ビジネスサービス、経費管理サポート、ポイントサービス、各種プロテクションなどあらゆる面であなたのビジネスをサポートしてくれるクレジットカードです。
知名度の高いアメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードの詳細
■JCB法人カード(一般)
JCBカードの最もスタンダードな法人カードで、年会費も税別1,250円と手頃です。
しかし、法人カードとしてのサービスは充分備わっていて、さらにWEB明細の登録をすることで海外旅行傷害保険や国内旅行傷害保険も付帯されます。
個人事業主向けの法人カードとしては、最もスタンダードなクレジットカードとしておすすめです。
まとめ
会社経費を精算するカードとして法人デビットカードは今ひとつであり、クレジットカードと比べるとデメリットが多いこともあり、あまり積極的にはおすすめできません。
- 根本的に現金払いと変わらないのでキャッシュフローに悪影響がある(後払いができない)
- 法人デビットカードの発行金融機関が少ないのでカードのバリエーションがない
- クレジットカードに比べてサービスが少ない
それに対してクレジットカードのメリットはたくさんあります。
- 後払いができるのでキャッシュフローが改善される
- 一般カード、ゴールドカード、プラチナカードまであり、発行会社も多いので選択肢が豊富
- ポイントプログラムが充実
- 海外旅行傷害保険といった付帯保険が充実
- 各種ビジネス向けサービスも数多く提供
デビットカードは個人向け利用としてはクレジットカードに匹敵する用途がありますが、法人の経費決済用としてはクレジットカードには劣ります。
法人デビットカードは単独では使わずクレジットカードと併用しましょう。
経費決済を法人カードで支払うことをメインにして、現金払いしかできない場合にのみ法人デビットカードを利用する使い方をおすすめします。