自己破産にメリットはある?申立前に知っておきたい重要ポイント

多重債務者となってしまったときの解決策のひとつに自己破産という手段があります。

自己破産というと法的なペナルティがあるようなマイナスイメージがありますが、実際に大きなペナルティはあるのでしょうか?

ペナルティがあったとしてもそれを上回るようなメリットがあるでしょうか?

今回は自己破産という債務整理手段を選択する前に、自己破産のメリットやデメリット、費用や自己破産以外の債務整理について解説しましょう。

意外と誤解がある?自己破産のデメリット

自己破産のメリットを考える前に、どのようなデメリットがあるのかを解説しましょう。

財産が処分される

破産はもともと債権者が債務者に対して、強制的に資産を処分して債務金に充当する目的で裁判所に申立続きをするものです。

そのため自己破産でも資産を処分して債権者に配分することは必須となります。

しかし、反対に債務に充当できるような資産がない場合は、資産の処分はデメリットになりません

財産が処分されるというデメリットは、破産申立人の資産状況によってはデメリットにはならないこともあります。

職業に制約がある

自己破産の手続開始決定から手続きの終了(免責許可の決定)までは、資格制限によって就けない職業があります。

弁護士や司法書士などあまり一般的でない職業もありますが、保険の募集人や警備員といった一般的な職業もあります。

しかしこの制約は法律上の扱いが破産者となっている期間だけなので、免責許可が決定すると復権して再び職業に就くことができます

職業の制約は一時的なものなので大きなペナルティではありません。

また、自己破産となっても、それを理由に会社を解雇されることもないので、職業に関するデメリットはほとんどありません。

官報に掲載される

自己破産の手続開始決定と免責決定は官報に記載されます。

氏名・住所といった個人情報も掲載されますが、官報そのものは意識して調べない限り一般的には目に触れることはありません。

官報は政府が国民に対して知らせる公告文書で毎日発行されています。

一般的な書店でも官報を購入することはできますが、インターネットで参照することも可能です。

インターネットでは直近30日の官報が無料で参照することができます。

職業上官報を目にする人はいますが、一般的には官報に自己破産情報が掲載されていても近所に人や知人に知られるということはほとんどありません。

官報への掲載はデメリットではありますが、それほど気にする必要はありません。

個人信用情報機関に記録される

自己破産の情報は個人信用情報機関に事故情報として登録されますが、データの保存期間は個人信用情報機関によって異なります。

個人信用情報機関にはCIC、JICC、KSCがあります。

事故情報の保管期間は、KSCだけ10年間保管し、残る2つの個人信用情報機関が保管する機関は5年になっています。

しかし、自己破産をするような状況では、すでに個人信用情報機関に長期延滞者として記録されている可能性が高いはず。

長期延滞者は契約終了まで記録が消えず、その後も5年にわたり記録が保持されます。

こうしたことから自己破産することで、結果的に記録の保管期間は短縮されることになり、その後の再出発がしやすくなることもあります。

ただし、銀行系個人信用情報機関のKSCだけは10年記録を保存しているので、仮に銀行ローンや住宅ローンの申し込みをする場合は10年待つ必要があります。

自己破産の効果は債務者本人だけ

債権によっては連帯保証人が付いていることもありますが、自己破産によって債務が免除されるのは申し立てした本人だけに限られます。

連帯保証人が債務免除されるためには、連帯保証人も自己破産を申し立てる必要があります。

債務者本人だけが債務免除されると、債権者は連帯保証人に対して請求をすることになります。

自己破産申立前は連帯保証人に相談するとともに、報告しておくことが非常に重要です。

自己破産のデメリットだと誤解されていること

自己破産に関しての通説や誤解によって、デメリットだと勘違いされていることがいくつかあります。

・公民権が停止される
・戸籍に記録される
・海外旅行に行けなくなる

選挙権や被選挙権が自己破産によってなくなることはありません。

また、戸籍やパスポートに記載されることもありません。

ただし、自己破産の手続中は、所在地を離れる場合には許可が必要なるので、手続き中の海外旅行は難しいでしょう。

支払い義務の免除以外にもメリットはある!

これまで自己破産に関するデメリットについて説明してきましたが、それほど大きなデメリットはないことがおわかりいただけたでしょう。

次に自己破産のメリットについてご紹介しましょう。

債務の支払い義務が免除される

自己破産の大きなメリットは支払い義務の免除ですが、これが自己破産をする最大の目的と言ってもいいでしょう。

破産手続きは資産を処分する代わりに残りの債務を免除する仕組みですが、資産がなければペナルティなしで債務が免除されます。

これが自分で破産を申し立てする最大のメリットとなります。

処分できる資産がない場合は破産手続きも簡素化されるので、免責許可決定までの時間が短いというメリットもあります。

ただし、免責が許可されても支払い義務が残る債務もあり、免責が許可されないこともあります。

●免責が許可されても支払い義務が残る債務
・税金
・罰金等の請求権
・破産者が悪意で加えた不法行為による損害賠償請求権
・破産者が故意、重過失によって人の生命・身体を侵害した場合の不法行為に基づく損害賠償請求権
・婚姻費用の分担、養育費等の家族法上の義務にかかる請求権
・雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権および使用人の預金返還請求権
・破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権

●免責が許可されない場合(免責不許可事由)
・詐害行為目的での財産の不利益処分(財産を隠して債権者に不利益な処分するなどの行為)
・不当な債務負担行為(不利益な条件で債務負担し手続きを遅せるなどの行為)
・不当な偏波行為(特定の債権者に利益を与える行為など)
・浪費または射幸行為(浪費やギャンブルで財産を減らす行為など)
・詐術による信用取引(自己破産することを知りながら、それを隠して信用取引などをする行為)
※一部抜粋

上記のような行為や債務などがあると、自己破産最大の目的である支払い義務の免除が認められないことがあります。

また他にも裁判所を欺くような行為があったり、提出する書類などに虚偽があったりした場合も免責不許可自由に該当するとのこと。

自己破産を申し立てする前に充分に注意しておきましょう。

財産は一部残すことができる

自己破産の手続きでは資産はほとんど処分されますが、すべてが処分されるわけではありません。

生活に必要と認められる範囲内の現金や差し押さえ処分ができない資産もあります。

例えば99万円以下の現金などは自由財産と呼ばれ処分されることはありません

また、日常生活に必要な家財や家電品などは差し押さえが禁止されているので、同じく処分の対象外となります。

最低限度の生活ができる程度の資産は処分されないというのは少し安心できますね。

自己破産以外の債務整理

債務整理の方法は自己破産以外にもあるので簡単に各方法の解説と適しているケースをご紹介します。

任意整理

返済不能までにはなっていない場合で、複数の債権者があり一人では交渉が難しいケースでは、弁護士や司法著氏に依頼して任意整理を検討しましょう。

任意整理は簡単に言えば債権者ごとに私的な和解をする方法です。

交渉先が多く法律的な知識も必要なので、弁護士などの専門家に委任するのが一般的です。

個人再生

自宅不動産を残したい場合は個人再生を選択しましょう。

住宅ローンがあればそのまま支払うことになり、他の債務は圧縮されますが基本的に3年以内に完済する必要があります。

そのため安定した継続収入があることが条件となります。

特定調停

債権者数が少ない場合は特定調停で解決できる可能性があります。

家庭裁判所の申し立てして行いますが、調停委員に立ち会ってもらい債権者と話し合いをして解決する方法です。

調停の結果は調停調書にまとめられ、裁判官の署名によって法的な効力も得られます。

債務整理の方法としてはもっとも費用がかからない方法です。

自己破産にかかる費用

同じ自己破産でも債権総額や資産の有無によって自己破産にかかる費用は大きく違ってきます。

資産がない場合は同時廃止という手続きをするため、破産管財人が専任されず費用も少なく時間もかかりません。

裁判所の実費は数万円程度で、弁護士費用が30万円程度かかります。

お金が支払えなくて困っているのに弁護士費用は支払えないという人でも、分割で費用の支払いが可能な弁護士事務所もあります。

また、法務省や最高裁判所、日本弁護士連合会などが運営に携わる「法テラス」という支援団体に相談すれば弁護士費用を立て替えて、毎月分割払い(5,000円~10,000円)で支払うことも可能です。

高額な資産があり管財事件となる場合は高額な費用がかかるので、むしろ自己破産を選択せずに個人再生や任意整理を検討しましょう。

まとめ

借金問題の解決方法として自己破産はひとつの手段ですが、債務整理の方法は他にもあります。

まずは自己破産という手段が自分に適しているのかをよく考えましょう。

基本的に処分できるような資産がなく、返済が困難となっている状況では自己破産は大きなペナルティもなくリセットできる方法です。

しかし、支払いが困難になったらすぐに弁護士に相談して、もっとも適切な債務整理の方法を選びましょう。

お金の問題を解決するには早めに専門家に相談すること大切です。

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