健康保険だけでない個人事業主のための保険とは

サラリーマンは自分に必要な健康保険などは、会社が自動的に加入して保険料も給与天引きとなるので意識することはほとんどありません。

 

会社員時代の健康保険は各会社の保険組合ですが、個人事業主は自分で選ぶことができます。

 

また、健康保険以外でも個人事業主に必要な保険もあります。

 

今回は個人事業主に必要な健康保険やその他の保険について詳しく解説しましょう。

 

 

個人事業主に関係する健康保険

個人事業主が選ぶことができる健康保険は全部で4つあります。それぞれの特長を解説しましょう。

 

国民健康保険

最も一般的な健康保険が国民健康保険で市町村が管理しています。

 

国民健康保険料には均等割と所得割があるので、前年の所得によって保険料が大きく違う場合もあります。

 

前年度に一時的収入があった場合は健康保険料が急激に増えるのであらかじめ準備しておきましょう(年間最大保険料89万円)。

 

また、白色申告者よりも青色申告者のほうが保険料は少なくなります。

 

保険料は市町村によって開きがあり、年間で10万円以上違うこともあるので、自分お居住する市町村のホームページで確認してみましょう。

 

青色申告と白色申告の違い

 

退職前の健康保険組合を任意継続

サラリーマンから独立起業する場合は、引き続き同じ健康保険組合の保険に加入することができます。

 

ただし、退職後20日以内に申請し、最長2年間の加入となります。

 

すぐに国民健康保険に切り替えるのと、どちらの保険料が得になるかは、ケースバイケースなので事前に調べておきましょう。

 

たとえ2年でも保険料が節約できればメリットがあります。

 

健康保険組合に加入

職種によっては会社員でなくても加入できる健康保険組合があります。

 

業界別に存在していて保険料の計算方法も地域によって違いがあるので、同じ業界に知り合いがいれば確認してみるのもいいでしょう。

 

ちなみに業界によって下記のような健康保険組合があります。

 

・関東信越税理士国民健康保険組合
・文芸美術国民健康保険組合
・東京美容国民健康保険組合

 

家族の扶養者になる

最後に特殊な例ですが、すでに健康保険組合に加入している家族の扶養者になるという方法があります。

 

扶養者として認められる必要がありますが、年収130万円未満が目安となります。

 

会社員を退職して事業が軌道にのるまでの間、家族の扶養者になるというのも、ひとつの方法です。

 

健康保険以外の保険

個人事業主に関係する保険は健康保険以外にもあり、また従業員を雇った場合は従業員のための保険も考慮する必要があります。

 

労災保険

労災保険は基本的に労働者のためにあるので、経営者は労災保険に加入できません。

 

そのため一般的に事業主は業務上のケガや病気に備えて民間の保険に加入することになります。

 

ただし労災保険の「特別加入者」に該当する場合は、事業主でも加入できます。

 

・中小事業主及びその家族従事者等(一定の従業員数以下の事業規模)
・一人親方及びその他の自営業者等(大工、左官、個人タクシーなど)
・海外派遣者等
・特定作業従事者

 

中小事業主に相当するのは、金融業・保険業・不動産業・小売業で50名以下、卸売業・サービス業は100名以下、その他は30名以下の規模の事業主。

 

ただし、上記の範囲内の労働者を常時使用する事業主でなければいけないので、一人で事業をしている場合は対象となりません。

 

 

小規模企業共済

事業者が退職しても退職金などがないため、老後の生活に支障をきたさないように設立されたのが、中小機構の「小規模企業共済」です。

 

加入条件は基本的に従業員20名以下(商業は5名以下)の小規模中小企業や個人事業主。

 

サラリーマンの兼業などは対象になりません。

 

・小規模企業共済のメリット
・掛金は1万円〜7万円で自由に選択でき、全額所得控除の対象
・廃業・退職時に共済金を支払う
・事業資金や災害時の貸付制度がある

 

経営セーフティ共済

中小機構の共済制度には「経営セーフティ共済」もあります。

 

これは取引先の倒産による連鎖倒産を防止するための共済保険です。

 

加入要件は「小規模企業共済」よりも緩やかで、一般的な中小企業も加入が可能です。

 

掛金は5,000円〜20万円までで最大800万を納付できます。

 

取引先が倒産した場合は掛金総額の10倍まで無利息で貸付を受けられます。

 

また、運転資金としての借入もできるので、中小企業経営車や個人事業主にとってはメリットがある共済です。

 

従業員の保険

個人事業主でも従業員を雇うと社会保険に加入し保険料を負担することになります。

 

労災保険

パート・アルバイトなど雇った労働者すべてが労災保険に加入します。
保険料は全額が雇用者負担で労働基準監督署に申請します。

 

健康保険・厚生年金

適用業種であれば従業員5名以上で健康保険と厚生年金に加入義務があります。
適用外業種でも従業員5名以上であれば任意加入が可能です。
保険料負担は事業主・労働者負担の割合が50%ずつとなります。

 

雇用保険

従業員が1名以上であれば雇用保険への加入も必要となります。
パート・アルバイトでも「31日以上雇用の見込みがあり、かつ1週間の労働時間が20 時間以上」であれば加入します。
業種によって保険料率が違いますが、雇い主と従業員の双方が保険料を負担します。

 

雇用保険の加入については公共職業安定所(ハローワーク)に相談すれば教えてもらえます。

 

個人事業主の年金保険料

個人事業主の場合は国民年金に加入する義務があります。

 

しかし加入できるのは国民年金以外に3つあるので、加入することで保険料は全額控除になるので節税対策にもなります。

 

国民年金

国が運営している年金で居住している市町村で加入します。
保険料は一律に設定されていて平成28年度は16,260円(前年度15,590円)で年々増加していきます。
年払いやクレジットカードでの支払いもできます。

 

付加年金

国民年金保険料に400円上乗せして加入できるのが、付加年金です。
後述する国民年金基金との併用はできません。

 

国民年金基金

国民年金に追加して加入できるのが国民年金基金です。
掛金は年齢・性別や加入口数などで違いますが、最大68,000円の範囲で選択できます。
掛金は全額所得控除の対象。

 

確定拠出年金(日本版401k)

企業型と個人型がありますが、個人事業主が加入できるのは個人型です。

 

金融機関や証券会社などが運営する私的な年金制度。

 

公的年金は将来の受取年金額が決定していますが、保険料は年度によって変更されます。

 

確定拠出年金の場合毎月の掛金は確定していますが、受取年金額は運用結果によってばらつきがあります。

 

掛金全額が所得控除の対象となります。

 

各種保険料の申告・会計での扱い

社会保険料や各種保険料は所得確定申告をすることで、課税対象から除外される「控除」を受けることができます。

 

控除の対象となる保険料を個別に解説します。

 

社会保険料

社会保険料とは、基本的には国民年金、国民健康保険、健康保険・厚生年金保険の4つの保険料を言います。

 

この他に年令によって後期高齢者医療保険、介護保険、また従業員を雇った場合は、雇用保険料、厚生年金基金の掛金なども対象となります。

 

これらの保険料や掛金は「社会保険料控除」として所得から差し引くことができます。

 

これら公的な保険料は支払った金額全額が所得控除になります。

 

社会保険料の経費処理

加入者が事業主の社会保険料は経費とはなりません。

 

経費として損金計上できるのは会社(個人事業主)が負担する従業員の雇用保険・健康保険・厚生年金保険料などです。

 

これらの勘定科目は「法定福利費」となりますが、個人負担分も給与天引きするので、個人負担の保険料は「預り金」として処理します。

 

保険料を支払ったときに預り金を立替金に振り替えます。

 

社会保険料以外の所得控除

確定申告で控除される保険料・掛金で社会保険料以外には下記のものがあります。

 

・小規模企業共済等掛金控除:経営セーフティ共済・小規模企業共済の掛金は全額
・生命保険料控除:生命保険料によって金額が変わる(最高12万円)
・地震保険料控除:年間の地震保険料によって金額が変わる(最高5万円)

 

やはり経営セーフティ共済・小規模企業共済は生命保険や地震保険と比べて、控除額は全額というメリットがあるので、節税対策として効果があります。

 

まとめ

個人事業主は会社員と比べると、より社会保険やその他の保険を意識する必要があります。

 

どの保険が確定申告で控除となるのか、経費として損金計上できるのかはよく理解しておきましょう。

 

これによって課税所得が違ってくるので、納付する所得税の金額も大きく変わってくるので、個人事業主は税金だけでなく保険に関しての知識も必要です。