個人事業主が納めるべき税金と節税法

個人事業主として事業を展開していく上で各種税金は切っても切り離せないものです。
常にこの税金を念頭に置いて、なるべく税金がかからない方法で背付きの購入などを行う必要があります。

 

納税は国民の義務ですが、払わなくても良い税金まで支払う必要はありません。
税務署はこうすれば税金を節約できますよといったことは教えてくれません。税金の還付に関しても黙っていると戻ってこないケースがほとんどです。

 

個人事業主は税金に関しては、税理士を雇うか自分で気をつけるしかないのです。これはサラリーマンにはない悩みの一つです。

 

そうしたこともあり、自営業を営んでおられる方はもちろん、これから個人事業を開業する予定の方も税金に関する知識を持っておく必要があります。
税金がいくらぐらいかかるかを知っておくことは、事業を行っていく上で必須の知識と言えるでしょう。

 

今回は個人事業主に係る税金にはどのようなものがあるのか、その税金別に詳しく解説していきましょう。

 

 

個人事業主が関係する税金の種類は?

個人事業主が関係する税金の種類はいくつかあります。

 

その代表的なものとしては所得税、住民税、個人事業税、消費税の4つが上げられます。

 

このうち所得税と消費税が国税であり、住民税と個人事業税は地方税の扱いとなります。

 

所得税(国税)

所得税は個人事業主にかかわらず一定以上の収入があれば納税しなければいけない基本的な税金です。
給与所得者であれば給与から源泉徴収されるので、年末調整をするだけで所得申告の必要はありません。

 

しかし、個人事業主の場合は全て自分で申告するか、税理士に依頼して申告するかのどちらかになりますが、そのかわり各種控除が認められています。
特に経費に関してサラリーマンはほとんど認められていないのに対して、個人事業主は事業に関して支払ったものはほとんど経費として認められます。

 

確定申告では認められている範囲内でなるべく経費を申告して節税に務めることが大切です。

 

所得税率

所得税の速産表

課税所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

※国税庁ホームページより(2016年10月現在)

 

所得を税務署に確定申告をする申告納税制度という方式から納税すべき所得税額が決められることになります。

 

この「所得」ですが、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得の10種類があります。

 

一般的にはサラリーマンの場合、給与所得がメイン収入となりますが、個人事業主の場合は事業所得がメインとなるでしょう。

 

個人事業者に限らず上記のように所得金額に応じて税率と控除額が決められています。所得金額は収入金額(売上金額)から仕入代金や事業に関係する経費を差し引いた金額になります。

 

所得税=総収入金額−必要経費(控除額含む)×税率

 

必要経費と言うのは事業のために掛かった経費を言います。

 

税率は上記の通り、所得が高いほど税率が高くなる、いわゆる累進課税となり、5%から最高45%までの7つの段階に分かれています。

 

詳細は以下の表の通りとなります。

 

所得税の税率について(国税庁HP)

 

実例として計算すると、500万円の所得金額であれば、5,000,000円(所得金額)×20%(税率)−427,500円(控除額)=572,500円が納税額となります。

 

所得金額が少なくなるほど課税率が下がるので、可能な限り経費部分を増やすことが節税につながります。また控除金額が大きくなる青色申告をすることも一つの方法です。

 

白色申告と青色申告の違い

個人事業主が確定申告を行う場合、白色申告と青色申告の2種類があります。何も申請しなければ白色申告の扱いとなります。

 

これに対して開業届と「所得税の青色申告承認申請書」を提出すると青色申告が可能になり、特別控除などのメリットを受けられます。

 

■青色申告のメリット

  • 白色申告も帳簿付けが義務付けられていますが、青色申告でなおかつ正規期な簿記での記帳(複式簿記)で帳簿付けすると、青色申告特別控除65万を受けられます。簡便な単式簿記で記帳しても10万円は控除されます。
  • 赤字で申告した場合、その後3年間は赤字を繰り越すことができます。これによって赤字の年度以降黒字となっても、3年前までの赤字をマイナスできるので、場合によっては税金を支払わなくても良くなります。
  • 専従者給与の特例によって、同じ事業に従事する配偶者や家族の給与を経費として所得控除することができます。白色申告では専従者控除と呼ばれていて、配偶者で最大86万円、その他の家族は50万円までの控除ですが、青色申告では上限がありません。ただし、15歳以上の親族に限られ、「1日6時間以上、月に15日以上ないしは、年間で6か月以上相当」の期間仕事に従事している必要があります。
  • 自宅兼事務所といった場合、青色申告者は光熱費や家賃などを按分して経費にすることができます。電気代であればコンセントの数、家賃は床面積などによって事業用の部分を按分し経費として計上します。
  • 青色申告では「少額減価償却資産の特例」として30万円未満の資産であれば一括して経費計上できます。白色申告の場合10万円以上は資産として計上し、減価償却費として毎年少しずつ経費計上することになります。

 

■所得税の青色申告承認申請書の提出期限
白色申告から青色申告に切り替えるためには、該当する年度の3月15日までに申請書を提出する必要があります。
これを過ぎてから提出すると次年度に似日てしまうので気をつけましょう。最初から青色申告にする場合は、事業開始から2ヶ月以内に開業届と同時に青色申告承認申請書を提出しましょう。

 

個人事業主なら青色申告がお得

 

申告に必要な書類

個人事業主が確定申告をする場合に必要な書類は次の通りです。

 

■白色申告に必要な書類
 ・収支内訳書(2ページ)
 ・確定申告書B(2ページ)

 

■青色申告に必要な書類
 ・所得税青色申告決算書(4ページ)
 ・確定申告書B(2ページ)

 

これ以外に共通書類として医療費の領収書や社会保険料、生命保険料控除用の証明書を必要に応じて添付します。

 

青色申告で複式簿記を選択した場合は青色申告決算書に「賃借対照表」の記載も必要になります。
青色申告にも3種類あり、「簡易簿記」、「現金式簡易簿記」の場合は賃借対照表の記載は不要です。

 

複式簿記の場合は記載も多く帳簿も複雑ですが、それ以上に節税のメリットが大きいのでチャレンジしてみる価値はあります。
最近の確定申告書作成ソフトを利用すれば、簿記の知識がなくても簡単に記載することができます。ソフトは有料ですがそれ以上の節税効果が期待できます。

 

住民税(地方税)と個人事業税(地方税)

住民税は所得の申告をすると自動的に課税されます。確定申告をすると居住している市町村から納税通知書が送付され、それに従って納付することになります。

 

納期は年4回に分かれているので、それぞれの時期に納付しても良いですし、一括で支払うこともできます。
住民税は均等割と所得割の二つを併せた額を支払う必要があります。

 

均等割 所得額に関係なく均一額を納税
所得割 納税額が所得額に比例

 

つまり、所得割では所得金額が多くなれば、負担すべき納税額も増えると言うことになります。

 

また、住民税の額は住んでいる市町村によって変わってきます。

 

均等割 所得割
都道府県民税 1,000円+500円 4%
市町村民税 3,000円+500円 6%

上記は課税標準額で市町村によっては独自に増税していることがあリます。

 

個人事業税

個人事業税も住民税と同じ地方税の一つで、確定申告をすれば、それに則って支払う必要が出てきます。

 

計算方法は事業で得た収入から必要経費等を差し引いた額に税率をかけて算出されます。
つまり、以下の式で計算されます。

 

(収入−必要経費−専従者給与等− 各種控除)× 税率 = 個人事業税

 

住民税は年4回の納期がありましたが、個人事業税は年2回、8月と11月が納付期限となっています。

 

個人事業税は70の業種ごとに税率が決められていて、例えば、飲食業など一般的な事業は第一種事業となり、税率は5%。

 

水産業、畜産業、薪炭製造業の3つは第二種事業となり、税率はやや安く4%。

 

一方、医者や士業など30種の事業が第三種事業となり、基本は税率が5%となっています。

 

しかし、あんま・マッサージなど、その他の医業に類する事業と装蹄師業の2つは第3種事業の中でも税率が3%に設定されています。

 

上記のように税率は業種によって違いますが、殆どは5%となっています。

 

また業種に関係なく290万円の控除があるので差税所得が290万円以下の場合は個人事業税を支払う必要はありません
これは業種などを問わず、1年間営業していれば一律で控除されます。

 

消費税(国税)

消費税は2016年10月現在で8%ですが、納税義務は消費者にあります。事業者は消費税を預かって国に納付する義務を負っています。
しかし、すべての事業者が消費税を申告する義務はありません。

 

消費税を申告するかどうかは売上1,000万が目安

基本的に前々年度の売上高が1,000万円までであれば消費税の納付義務がない免税事業者となります。

 

ただし特例があり、特定期間(前年の1/1〜6/30)の課税売上高が1,000万円以上であれば消費税の確定申告によって納税する義務があります。
年初から6ヶ月間の売上が1,000万円以上の場合、翌年は消費税についても申告の必要があるということになります。
※利益でなく売上が対象

 

印紙税

上記の4つ以外に忘れてはいけないのが印紙税。

 

これは契約書や領収書に添付しないといけないもので、事業を営んでいる場合には結構、必要となることが多いものです。

 

購入するべき印紙の額については以下に記載しておりますので、知っておくようにしましょう。

 

印紙税一覧(国税庁HP)

 

簡易課税事業者であれば節税できる

消費税の計算式は次のとおりです。
 売上高1,000万円×8%−仕入金額100万円×8%=72万円

 

これは一般課税の計算式ですが、簡易課税(第2種小売業)の計算式は次のとおりになります。
  (売上高1,000万円×8%)×80%(みなし仕入率)=64万円

 

業種によって一律の「みなし仕入率」が適用されるので、一般課税の計算で算出された納税額よりも低くなるのであれば節税につながります。
ただし、複数の事業を展開している場合は業別に計算する必要があり、かえって計算が複雑になるのでおすすめできません。

 

簡易課税制度は下記の条件で適用されます。

 

・前々年の課税売上高が5,000万円以下であること
・簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出すること

 

消費税の中間申告・中間納付とは?

消費税の確定申告は毎年3月末日ですが、納付金額によっては年11回までの中間申告が必要となります。

 

・48万円以下…中間申告不要
・48万円超え400万円以下…年1回の中間申告
・400万円超え4,800万円以下…年3回の中間申告
・4,800万円超え…年11回の中間申告

 

上記のように前年の消費税納付金額が48万円以下であれば中間申告は不要ですが、4,800万円以上になると、確定申告と合わせて毎月申告と納付が必要になります。

 

個人事業主の節税方法

個人事業主にとって、税金を節約することは非常に重要なことですが、しかし、節税のために売り上げを減らすというのは本末転倒。

 

例えば、資金調達として融資の依頼を金融機関にする際など、経費計上による節税は融資審査に影響が出てくる可能性があります。

 

本来は売上げが多くても、経費計上しすぎて売上額が少ないと判断される恐れもあります。

 

一時的な資金調達に役立つビジネスローンなどの契約が出来ていれば別ですが、どこからも借入できない状態で節税への注力は事業を続ける上でのリスクとも考えられます。

 

基本は売り上げを上げながら、いかに経費を増やすかがポイントですが、融資が必要になった場合のことも考えておくと良いでしょう。

 

また、所得控除の知識も重要です。

 

各種所得控除の活用

健康保険に加入するための国民健康保険料や国民年金などで支払ったお金は社会保険料控除として全額控除対象になります。

 

それ以外に基礎控除、配偶者控除、生命保険料控除や地震保険料控除など各種控除があります。
生命保険は保険者が家族名義の場合でも対象になります。

 

経費

必要経費もこまめに領収書を取り、きちんと処理すれば節税となります。
例えば、自宅が事務所の場合、家賃のうち、その事業用のスペース分は経費とすることができまし、同じく、電話代やパソコンの接続料なども事業で使っている部分に関しては経費として処理することが可能です。

 

このように事業で使っているものの多くは経費となります。

 

個人事業主の経費計上できるもの

 

小規模企業共済

この小規模企業共済は個人事業主が合法的に節税できるものとして有名です。

 

運営は独立行政法人の中小企業基盤整備機構が行っていて、基本的には事業主のための退職金制度と言う性格のものです。

 

特に満期という規定はなく、個人事業主の場合、事業を廃業した時に共済金を受け取れます。

 

また、65歳以上で15年以上かけている場合は事業を続けていても老齢給付として受け取ることも可能です。
掛け金は最高で月に7万円ですから、年間だと84万円が控除されることになります。
支払いが厳しいと感じるときには設定額を1,000円まで落とすことが可能です。

 

掛け金の増額や減額は月単位でできますが、減額には経営の悪化などの一定の条件が必要です。

 

その時点の経営状況に応じて、支払える額を支払っていき、退職金を積み上げるとともに節税対策にもなるということで、一石二鳥の制度と言えるでしょう。

 

個人事業主が納めるべき税金と節税法

 

まとめ

納税は国民の義務ですが、それにしても納付しなければいけない税金が多く、それだけ普段から税金に対する意識を高める必要があります。
特に節税につながる情報に関しては常にアンテナを張っておく必要があります。

 

事業として売り上げも増えて経済的な余裕ができれば、税理士を雇うという方法もありますが、個人事業ではなかなかそこまでは行かないのが現状でしょう。
しかし、ネットなどで情報を仕入れたり、確定申告書などの作成ソフトを利用したりすれば、個人でも青色申告することは難しくありません。

 

確定申告も年1回集中してやると大変ですが、毎月きちんと帳簿をつけていれば余裕で提出できます。
ぜひ青色申告にチャレンジして、もっと節税につなげましょう。