ベンチャーキャピタルとは?わかりやすく解説
ベンチャーキャピタルという言葉をよく耳にしますが、正確に言葉の意味を理解している人は少ないのではないでしょうか。
またベンチャー企業も同様によく聞く言葉ですが、関連性はあるのでしょうか?
実はベンチャー企業とベンチャーキャピタルには切っても切れない関係があります。
今回は特にベンチャーキャピタルに関して詳しく説明しましょう。
ベンチャー企業とベンチャーキャピタル
簡単にいえばベンチャー企業が資金を調達する先としてベンチャーキャピタルが存在します。
つまりベンチャー企業専門に資金を提供するのがベンチャーキャピタルです。
ベンチャー企業とは?
ベンチャー(Venture)には冒険という意味があるので、新事業や新技術を開発することを目的として設立する企業をベンチャー企業と呼んでいます。
特にIT事業関連の企業が多く、海外ではFace Book、Googleなどもベンチャー企業の成功例となっています。
ところがベンチャー企業の特長として前例がない事業であることが多いため、銀行などの金融機関から資金を調達することが難しいという側面があります。
特に銀行で融資による資金調達が、ある程度の実績がなければ難しいため、ベンチャー企業としてスタートアップするには融資よりも出資に頼るというのが現状です。
しかし、株式会社を設立しても株式公開されたり、上場したりしない限り、投資家の目に触れることも少なく、投資先企業として投資対象になること自体が難しいのです。
そこでベンチャー企業としては投資を待つのではなく、積極的に投資家を探す必要があります。
ベンチャー企業を対象として投資を行なう集団のベンチャーキャピタルの存在は、ベンチャー企業にとっては重要な資金調達先となります。
ベンチャーキャピタルとは?
基本的にベンチャーキャピタルは個人ではなく、企業として投資会社の形態となっています。
個人だけでベンチャー企業に投資する出資者はエンジェル投資家と呼んでいます。
ベンチャーキャピタルが投資をするのは株式会社で、株式を購入することで最終的には上場したときに利益を得ることになります。
または企業価値を高めてからM&Aにより会社そのものを売却することでも利益を得ることができます。
さらにベンチャー企業からは管理報酬を得ることができるのも、ベンチャーキャピタルの収入のひとつです。
投資方法としては「投資事業組合(ファンド)」を形成して投資するのが基本です。
ファンドは投資のプロで、機関投資家や富裕層の個人投資家から集めた投資資金(VCファンド)を運用します。
つまり第三者から資金を集めているため、資金運用には責任があるので、投資対象となる企業に対しては審査を行ないます。
ベンチャーキャピタルの審査
ベンチャーキャピタルは過去の実績がないことは前提となっているので、将来性をどう判断するかが重要です。
ベンチャー企業としては、事業計画書を作成して、他社にはないメリットや優位性をアピールすることが必要です。
銀行融資の場合は返済する必要があるので返済能力が重要な審査ポイントですが、ベンチャーキャピタルは企業として成長して上場やM&Aできるかということが重要です。
ベンチャー企業を立ち上げようとするのであれば、当然他社には負けない技術や商品アイディアなどを持っているはずです。
ベンチャーキャピタルの審査ではそれをアピールすれば良い結果に結びつくでしょう。
審査を通過すれば投資対象企業となり、投資契約書を締結して投資実行となります。
ベンチャーキャピタルの種類
日本でもベンチャーキャピタルが増えてきているので、ベンチャー企業としては資金調達先も増えてスタートアップには有利な状況となっています。
ここで主な日本のベンチャーキャピタル(VC)を系列別にご紹介しましょう。
事業会社系VC (証券会社系、銀行系、金融機関系含む) |
ジャフコ |
---|---|
政府系VC |
産業革新機構 |
大学系VC |
慶應イノベーション・イニシアティブ |
独立系VC |
グローバル・ブレイン |
どのベンチャーキャピタルが自社に適しているのかは、それぞれ判断する必要はありますが、選択肢が多いということはスタートアップには有利です。
しかし、撤退するベンチャーキャピタルもあるので、事前によく確認しておきましょう。
ベンチャーキャピタルのメリット・デメリット
ベンチャーキャピタルはベンチャー企業にとっての資金調達方法のひとつであって絶対的なものではありません。
ベンチャーキャピタルにもメリット・デメリットはあるのでよく理解してから利用しましょう。
ベンチャーキャピタルのメリット
ベンチャーキャピタルは融資ではなく起業家に出資をするので、出資金は基本的に返済しなくても良いというメリットがあります。
ベンチャーキャピタルは出資した企業が上場企業となったり、M&Aで売却したりということで、いわば成功報酬を受け取ることが目的です。
ベンチャー企業は返済を気にすることなく、事業成功に集中することができます。
また、出資金だけでなくベンチャーキャピタルは経営コンサルティングや顧客・ビジネスパートナーの紹介まで行ないます。
そのため経営に関して知識が少なくてもスムーズに経営をすることが可能になります。
ベンチャーキャピタルのデメリット
ベンチャーキャピタルの目的は企業を成長させることなので、経営にも大きく関与します。
株式会社を所有しているのは株主なので、株式の保有率が高いベンチャーキャピタルの意向に逆らうことはできません。
それがメリットになるかデメリットになるかはベンチャー企業しだいですが、経営よりも技術開発に集中したいという経営者には向いているでしょう。
また最終的には企業買収の対象となる可能性も高いので、その点も十分理解しておく必要があります。
投資回収を目的とするベンチャーキャピタルは将来の見込みがないと判断すると、資金回収も早いのでその点も注意しておきましょう。
ベンチャーキャピタル以外の資金調達方法
ベンチャーキャピタルだけがベンチャー企業の資金調達方法ではありません。
ベンチャーキャピタルでは経営者の保有株式の割合が低くなるので、経営にあまり口出しされたくないという場合は、ほかの資金調達方法も検討してみましょう。
出資による調達方法
出資による資金調達は以下のような方法があります。
・自己資金
・社員持株会
・他企業からの出資
そもそも自己資金が調達できないので資金調達を考えていることが多いですが、自己資金の比率が高ければ自由な経営をすることができます。
また社員持株会を組織できれば、会社の実績が社員にも反映するのでモチベーションが高くなるメリットがあります。
しかし、株主が分散し退職時に現金で持株を買い取る必要があるというデメリットもあります。
他企業に数式を買収するという方法も経営権を失うリスクはありますが、他企業の協力を得られるというメリットもあります。
融資の利用
融資をする金融機関によってベンチャー企業にとっては融資審査を通過しない可能性が高くなります。
特に返済能力や実績を重視する銀行からの融資は難しいでしょう。
しかし政府系金融機関や地方自治体の制度融資には、ベンチャー企業のスタートアップに適した融資もあるので検討の余地はあります。
銀行融資と比較すると低金利のうえに地方自治体が利子補給することもあり、スタートアップには向いています。
補助金・助成金
国や自治体が支給する補助金や助成金は返済する必要がないという大きなメリットがあります。
特に補助金に関しては創業時に利用できるものが多く、検討してみましょう。
有名な補助金としては経済産業省系の「創業促進補助金」があります。
審査があり必ずもらえるわけではありませんが、認定支援機関を通して申請してみましょう。
再就職手当
再就職手当は資金調達ではありませんが、生活にかかるお金の心配をしていると起業はうまくいきません。
一般的には前職を退職して再就職をするとハローワークからもらえる手当ですが、再就職には企業も含まれます。
自己都合で退職した場合は、待機期間満了後1ヶ月経過してから起業する必要がありますが、起業の準備にも時間はかかるのでそれほどのデメリットにはならないでしょう。
再就職がなければもらえるはずの給付金の60%か70%がもらえるので、起業後なるべく早く申請しましょう。
まとめ
ベンチャー企業がベンチャーキャピタルを利用する場合は、単なる出資先と出資元というだけではなく、信頼関係を築くことも重要です。
それには、いっしょに企業価値を高めていくという姿勢が重要です。
ただしベンチャーキャピタルだけが資金調達先ではなく、融資を含め様々な選択肢があることも忘れないようにしましょう。
ベンチャーキャピタルはベンチャー企業にとって、最も資金調達の相性が良いのは間違いなので、その特長やメリット・デメリットについてよく理解して利用しましょう。