信用保証協会の審査まとめ

信用保証協会は、中小企業や個人事業主が金融機関の融資による借入を、スムーズに行えるようサポートする公的機関です。

第三者保証人の代わりに信用保証協会が保証人となり、延滞が続いた場合に金融機関に立替払をするので、金融機関も融資しやすくなるメリットがあります。

しかし、信用保証協会が保証人となるには審査を通過することが条件となります。

今回は信用保証協会の審査はどのようなものか、審査を通過するための情報をまとめてみましょう。

信用保証協会の審査ポイント

信用保証協会付き融資を申し込む方法は、銀行経由と信用保証協会への直接申込があります。
どちらの場合も順樹の違いはありますが、銀行と信用保証協会の審査を受けることになります。

今回は信用保証協会の審査をメインに解説します。

返済能力

企業の返済能力は一般的に決算書により判断します。
決算書は3期分求められることが多いので、事前に準備しておきましょう。

全て黒字であれば審査は通過しやすいですが、赤字の場合であってもその原因によっては審査に影響しないこともあります。

売上の落ち込みによる赤字ではなく、一時的な要因によるものであれば3期トータルで判断して問題がなければ審査通過の可能性は高いでしょう。

各都道府県の信用保証協会は銀行系の個人信用情報機関KSC(全国銀行個人信用情報センター)に加盟しています。
KSCで法人代表者の事故歴などがあると審査通過は難しくなるので、代表者は個人利用であっても延滞しないように注意しましょう。

信用保証協会が返済能力を判断する基準のひとつに「債務償還年数」があります。

債務償還年数 = (有利子負債-所要運転資金)÷キャッシュフロー
※有利子負債=短期借入金+長期借入金+社債+割引手形−預金
※所要運転資金=売掛金−買掛金+受取手形+在庫−支払手形
※キャッシュフロー=税引後当期利益(一過性の収支除く)+減価償却費

上記の計算式で算出した債務償還年数は10年未満であれば審査通過の可能性が高くなります。
事業計画書を作成するときも、この数字を意識して作成しましょう。

資金使途

資金の使いみちは審査にとっては重要なポイントです。
基本的には事業資金の融資なので資金調達が融資目的となります。

事業資金には運転資金と設備資金がありますが、必要な資金額に根拠があるかどうかが大切です。
いわゆる、どんぶり勘定で具体的に何に使うのか、いくら必要なのかわからない状態では審査は通過しません。

資金使途とその根拠を明確にするため、資金繰り表を作成しましょう。
6ヶ月から1年先に資金繰り表を作成することで、必要な事業資金とその金額を明確にすると説得力が増します。
資金繰り表を作成していない経営者は融資申込前に必ず作成しておきましょう。

書類審査

信用保証協会申込の必要書類は以下のとおりです。

  1. 信用保証委託申込書(保証人等明細)
  2. 申込人(企業)概要
  3. 信用保証依頼書
  4. 信用保証委託契約書
  5. 個人情報の取扱いに関する同意書
  6. 確定申告書(決算書)
  7. 商業登記簿謄本
  8. 印鑑証明書

上記のうち審査に必要なのは決算書、個人の場合は確定申告書ですが、事前に準備しておいたほうがいい書類もあります。

・資金繰り表
・事業計画書

信用保証協会に限らず一般的な銀行融資でも資金繰り表や事業計画書は、融資可決に有利となるのでぜひ作成しておきましょう。

経営者の人柄

信用保証協会を初めて利用する場合は必ず面談が必要となりますが、面談は経営者の人柄を判断するのが趣旨です。

基本的に実直で嘘のない対応をすることが肝心なので、身なりや服装もきちんとして面談に臨みましょう。

信用保証協会が注意するのは過去に倒産した会社が、代表者を替えて申込することです。
そのため過去の経歴などもしっかり応えて疑問を抱かれないようにしましょう。

経営自己診断システム

保証料は経営状態の基準によって決定し、経営状態が良好なほど低い料率が適用されます。
つまり経営状態が良いほど審査が通りやすく、低保証料率が適用されるので融資申込前にチェックしておきましょう。

銀行の審査

銀行経由で信用保証協会付きの融資を申込む場合は、先に銀行の審査を受けることになります。

銀行の審査を通らなければ融資を受けることはできないので、銀行融資対策も重要です。

プロパー融資よりは審査は厳しくない

銀行融資にはプロパー融資と信用保証協会付き融資の2種類があります。
プロパー融資は延滞が発生しても100%銀行の責任で回収しなければいけません。

しかし信用保証協会付きであれば、責任共有制度があるとはいえ、銀行は20%を負担するだけとなります。
そのためプロパー融資の審査と比べると信用保証協会付き融資の審査は基準が低いと判断できます。

計算上は1,000万円の融資でも、銀行の20%負担分200万円の融資審査と同じと言えるでしょう。
貸倒れのリスクはプロパー融資と同じでも、金額は20%と少ないので、金額面でのリスクは大幅に減少するからです。

※責任共有制度: 未払いが一定以上続いた場合でも信用保証協会は80%しか立替せず、20%は銀行の負担となる制度(一部の制度融資は除外)

決算書が審査判断の基本

銀行融資の判断は基本的に決算書で行われます。
基本的には利益が出ているか、債務超過ではないかという点をチェックします。

しかし決算書は過去に実績なので、将来性を示す資料も提出すると審査に有利になります。

・事業計画書
・資金繰り表
・キャッシュフロー計算書

これらの書類も事前に準備しておきましょう。

また銀行の窓口担当者ともよく打ち合わせをして、審査に有利になる資料があればそれも準備しましょう。

貸借対照表は法人であれば、通常作成していますが、万が一、作成していない場合は保証料率で不利になります。

保証料率は9段階ありますが、貸借対照表がない場合は5番目の保証料率1.15%に固定されてしまいます(責任共有制度適用の場合)。

個人事業者の場合でも貸借対照表は必ず作っておきましょう。

窓口は銀行だけではない

信用保証協会付き融資の窓口は都市銀行や地方銀行だけではありません。
地元の信用金庫や商工中金、商工会議所などでも取り扱っています。

審査を通過するには、ふだん取引のある金融機関を融資窓口にするのが有利です。
取引が長い銀行を窓口にすることで、審査を通過するのに必要なアドバイスを得られます。

また、都道府県などと協調して制度融資でも信用保証協会が利用できます。

制度融資の利用

信用保証協会が都道府県や市町村と協調して行う融資を制度融資と言います。
この場合は制度融資自体に信用保証制度がセットされているので、申込の流れは金融機関経由となります。

まず最初に地方自治体に制度融資あっせんの申込をして審査を受けます。
審査を通過すると紹介状がもらえるので、それを持って以下の手順で融資を受けることができます。

  1. 中小企業者から指定金融機関への申込
  2. 指定金融機関から信用保証協会への保証の申込
  3. 金融機関による審査
  4. 信用保証協会による審査
  5. 融資の実行

信用保証協会付き融資のメリット・デメリット

信用保証協会を利用する場合のメリット・デメリットをいくかまとめておくので、申込前に確認しておきましょう。

▼メリット
・日本政策金融公庫よりも利用できる融資の種類が多い
・長期・低利で高額な資金需要に対応(無担保・無保証枠8,000万円まで)
・特定制度では、利息や保証料の補助がある
・普段自分が利用している金融機関を窓口とすることができる
・ほぼすべての金融機関からの融資に利用できる

▼デメリット
・金利の他に保証料の負担がある
・各地域によって、制度融資の内容や条件が違う
・会社または個人の主たる事務所がある地域の金融機関しか利用できない

この他にも銀行プロパー融資や日本政策金融公庫に比べると、審査が2段階で行われるので、申込から融資実行までの期間が長いというデメリットもあります。

まとめ

信用保証協会は小規模企業や中小企業向けに融資を受けやすくする役割があります。
そのため担保となるものや第三者の連帯保証人がいなくでも借りやすい仕組みになっています。

中小企業経営者にとってはメリットが大きい制度なので、資金調達方法のひとつとして活用しましょう。

しかし、十分な担保力がある不動産やしっかりした第三者保証人がいる場合は、保証料をかけないように信用保証協会無しでの融資も考慮しましょう。
必要のない保証料を支払うことは負担を増やすだけなので、融資申込前によく検討しましょう。

また、審査も金融機関と信用保証協会の2段階となるため、融資実行までに時間がかかる点を考えて時間に余裕がある資金調達に活用しましょう。

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