日本政策金融公庫とは?その活用方法について
通常、事業を行う場合、事業資金が必要になります。
会社経営者にとって、大きな問題の一つがこの資金問題です。
これから起業する人で、自己資金だけでは起業資金が足りない場合、融資先を探すことになります。
しかし、この資金調達がなかなか大変だということは融資を求めて金融機関に行ったことがある人ならご存知でしょう。
特にこれから創業するという人、起業したばかりで実績がない事業所では融資を受けるのはかなり困難です。
そんな中で個人事業主、弱小起業家の強い味方と言えるのが公的機関である日本政策金融公庫と公的な保障をしてくれる信用保証協会です。
日本政策金融公庫はこの公庫自体が融資をしてくれます。
それとは異なり、信用保証協会は保証料を支払うことで第三者の公的な保障人となってくれることから借り入れをスムーズにすることができます。
形は違いますが、この両者は融資を円滑にするという目的を持っている機関です。
ここでは日本政策金融公庫について機関の特徴や実際の活用法を含めて説明します。
日本政策金融公庫とはどんな機関?
日本政策金融公庫は政府系金融機関、政策金融機関などと呼ばれているものの一つです。
民間の金融機関では融資が難しいものを国の政策として公的融資を行う金融機関と理解しておけば良いでしょう。
かつて存在した国民生活金融公庫・農林漁業金融公庫・中小企業金融公庫の3つを整理統合して出来たのが日本政策金融公庫であり、政府が100パーセント出資している金融機関となります。
こうした経緯から現在でも事業として、国民生活事業、農林水産事業、中小企業事業の3つを掲げており、正式の略称は「日本公庫」ですが、今でも母体の一つである国民生活金融公庫の略称である「国金」と呼ばれたりすることもあります。
主な対象は創業者や小規模事業者、それに農林漁業者や中小企業ということになります。
特に注目されるのが、起業支援としてこれから事業を立ち上げるという方のために創業融資をする点です。
創業者支援には貸倒リスクがあると考えられるため、銀行などの民間金融機関では、なかなかお金を貸してもらえないことが多い実情があります。
つまり、創業支援をするところに公的な金融機関である日本公庫が存在する意義があると言えるでしょう。
日本公庫の融資の特徴
日本公庫からお金を借りる場合、どんな条件で融資を受けることになるのでしょうか?
融資を求める人はまずはこの点をしっかりと理解するようにしましょう。
日本公庫の融資制度はいろいろありますので、先ずは自分がどの融資制度を利用するのか知ることが先決です。
例えば、通常4,800万円までの融資が可能な「普通貸付」の他に、「新規開業資金」なら7,200万円までの借り入れが可能です。
また、女性や若者、それにシニア層の起業を支援するための「女性、若者、シニア起業家支援資金」という制度もあります。
他にも一度、廃業した後、再挑戦する人向けの「再チャレンジ支援融資」や地方での雇用創出が見込める事業に融資する「地域活性化・雇用促進融資」など、様々な目的に応じた融資制度があります。
全体として言えるのは創業融資制度が豊富で、しかも融資額が大きいという点です。
お金を借りる際に気になる利率ですが、日本公庫の融資は比較的低金利とされています。
ビジネスローンなどよりは金利も安いのが一般的です。
ですが、民間の銀行の中には公庫よりも安く融資するところもあります。
しかし、公的金融機関や銀行から融資可決までの審査期間ですが、1ヵ月から2ヵ月はかかると考えられ、融資実行までの時間も把握しておく必要があります。
融資を申込む場合、手続きはギリギリではなく余裕を持って行うようにしたいものです。
お金を借りる際、重要な自己資金、保証人と担保
さて、これから創業をする人や自営業者・零細企業でも融資をしてれる日本公庫ですが、融資申請を行った人は誰でもお金を借入れできるというわけではありません。
やはり融資審査があり、それをパスしないとお金を借りることができないのです。
起業する人の場合、日本公庫の融資の審査によって、起業出来るか出来ないかが決まるということもあります。
では、審査に受かるためにはどういう条件が必要なのかというと、先ず、重要なのが自己資金。
出来れば資金の内、半分は自分で用意しておくようにしましょう。
そして、保証人がいるかどうか、不動産などの担保を用意出来るかも重要なポイントです。
保証人や担保も誰でも良い、何でも良いわけではなく、やはり保証人なら収入、職業がしっかりしている人、担保はその価値が高いものが求められます。
シッカリした事業計画書を作ること
日本公庫からの事業支援を勝ち取るためには、前述のように自己資金や保証人、担保などが重要になりますが、それは大前提の話です。
ビジネスをする際に、その成否を決めるのは、やはり事業内容や経営方針。
ですから、担当者を納得させられる創業計画書・事業計画書を作り、事業運営が安定してできることをアピールする必要があります。
そして、計画書と同時に人物自体も評価されます。
それは事業を行うのは結局のところ、その事業融資を受ける本人だからです。
返済計画だけが立派でも人物評価が低ければ融資をするのに躊躇するもの。
そういう意味では面談は非常に重要となりますから、気合を入れて臨むようにしましょう。
日本公庫の審査を就職試験に例えるなら、履歴書(=事業計画書等の書類)と面接(=面談)で決まるということです。
特に自己資金や保証人などの条件が悪い場合、この事業計画書はより重要性が増します。
まとめ
以上、日本政策金融公庫についての概略と借り入れをする際の基本的なポイントを説明しました。
もし、融資を受けることを考えているなら、審査にパスできるように早いうちから努力をする必要があります。
例えば、少しずつでも貯金をし、自己資金を貯めることも必要でしょう。
また、事業計画を練り、事業経営の能力を示すことも不可欠です。
いずれにしても日本公庫の担当者が「借りたお金を有効に活用して、きちんと返済してくれる!」と思ってもらえるかどうかがカギになります。
もし、周りに融資を受けたことがある人がいるなら、そうした人に相談をするなど情報を集めることも有効です。
他にも、コンサルタントや税理士、行政書士など士業の専門家が融資相談をしているケースもあるので、相談してみるのも一つの方法です。
最近ではネットに日本公庫関係の記事がたくさん載っているので、それらを読むのも勉強になるでしょう。