法人カードローンの返済滞納で、ブラックリスト入りしないための対策はコレだ!

中小企業経営者や個人事業主の中には、資金調達方法のひとつとして法人カードローンを利用している人も多いでしょう。

 

法人カードローンに限らずお金を借りて支払を延滞すると大きなペナルティがあります。

 

返済を遅延したり未払いとなったりした場合は、どのように対処したらいいでしょうか?

 

今回は特に法人カードローンに関して、延滞した場合の対処法や原因、遅延損害金まで詳しく解説します。

 

 

法人カードローンで返済延滞するケース

 

法人カードを利用している事業者が支払を延滞するケースにはどのようなものがあるでしょうか?

 

延滞の原因や理由を理解していればそれを避けることもできます。

 

まずは延滞の原因と対処方法について解説しましょう。

 

入金予定のズレによる延滞

 

法人カードローンは運転資金やつなぎ資金などで利用するケースがほとんどです。

 

つなぎ資金は取引先への支払と、取引先からの入金にズレが生じた場合に必要になる資金です。

 

卸業などでは売上先の企業からの入金は、ほとんどが即時現金払いではなく支払い日を定めて入金する売掛金として扱います。

 

仕入れ資金も同様に買掛金として現金の振込を支払い日にするのが一般的です。

 

ところが売掛金の入金日が、買掛金の支払日よりも常に前になるというわけではありません。

 

そのため、売掛金の入金前に支払いが必要な場合は、そのタイムラグを埋めるためのつなぎ資金が必要になります。

 

法人カードローンは融資スピードが速いので、つなぎ資金に利用するのに適しています。

 

ところが売掛金の入金が予定通りとならない場合は、法人カードローンの返済ができなくなり延滞となるケースがあります。

 

これを未然に防ぐためには余裕を持った返済期日で利用することが必要です。

 

また、売掛金の入金がずれ込むことが確定した場合は、法人カードローンのカード利用枠に余裕があれば追加融資をして返済に充当するという方法もあります。

 

さらに売掛金を譲渡するファクタリングも検討してみましょう。

 

初めての返済は預金口座に注意

 

法人カードローンの返済口座が、普段はあまり利用していない銀行口座の場合、初めての返済には十分な注意が必要です。

 

口座を間違えて入金したために延滞になっても、支払うお金がなくて延滞になっても結果は同じで、信用を失うということに違いはありません。

 

こうした延滞を防ぐには法人カードローンの支払口座を普段から利用している口座にしておきましょう。

 

また、延滞が発生した場合はすぐにカードローン会社に連絡して、早めに返済することが大切です。

 

個人事業主の場合は事業用のカードローンの口座と、個人用のカードローン口座を別々にすることが一般的なので、特に注意する必要があります。

 

法人カードローンはリボ払いが原則

 

リボ払いは追加融資をしても毎月の返済金額が大きく変わらないので便利な返済方法です。

 

しかし法人カードローンは銀行で取り扱っていないため、消費者金融会社などノンバンクの法人カードを利用します。

 

ノンバンクの法人カードローンは銀行融資と比較すると高金利なので、リボ払いで長期返済をすると金利負担が大きくなるというデメリットがあります。

 

そのため法人カードローンでは短期のつなぎ資金に利用するのが原則です。

 

ところが法人カードローンの返済方法はリボ払いが原則で、クレジットカードのような翌月1回払といった返済方法がないのが一般的です。

 

1回払いができたとしても1~2ヶ月後の返済日となり、3ヶ月以上の据置期間※で返済することはできません。
※据置期間とは借入後、元本の分割返済が始まるまでの期間をいいます。

 

そのためリボ払いを利用して返済が可能となったときに残金を一括精算するというのが、基本的な返済方法となります。

 

返済可能なった時にリボ払いを続け、一括精算しなかったら利息負担だけが大きくなります。

 

忘れがちになってしまいますが、しっかりと覚えておきたいポイントです。

 

法人カードローンで返済延滞した場合のリスク

 

法人カードローンでも個人カードローンと同じで、延滞が続くとペナルティが発生します。

 

どのようなペナルティがあるのかを解説しましょう。

 

個人信用情報機関への登録

 

個人信用情報機関にはCIC(シー・アイ・シー)、JICC(日本信用情報機構)、KSC(全国銀行個人信用情報センター)の3社があります。

 

CICは旧クレジット系、JICCは旧消費者金融系の個人信用情報機関ですが、現在は指定信用情報機関として業種に関係なく加盟することができます。

 

しかし、KSCは銀行系の個人信用情報機関なので、ほとんどのノンバンクは加盟することができません。

 

法人カードローンを発行している消費者金融やノンバンクは、CICとJICCに加盟して会員情報を提供しています。

 

つまり法人カードローンでの支払状況はCICやJICCを通して、すべての与信会社に情報が伝わることになります。

 

KSCには銀行やその子会社以外は加盟できませんが、CICやJICCには銀行でも加盟が可能です。

 

また、CRIN(クリン)と呼ばれるシステムによって、CIC・JICC・KSCの事故情報も共有されています。

 

つまり法人カードローンでの延滞記録も、ノンバンクだけでなく銀行を含めた金融機関に情報が提供されます

 

延滞記録は新規申込があれば、その審査時には必ず照会されます。

 

他社の審査に大きなマイナスの影響があるので、延滞はくれぐれもしないように注意しましょう。

 

個人に登録される延滞記録の内容と影響

 

CICでは24ヶ月間の返済情報が記録されています。

 

延滞情報は「A」、正常支払は「$」というマークによって表示され、加盟会社が審査時に参照することができます。

 

これとは別に「異動情報」という区分があり、いわゆる、金融事故やブラック情報といった事故情報が記録されています。

 

3ヶ月以上あるいは61日以上延滞が続くと、この異動情報に記録されることになります。

 

異動情報の記録があるとCICの加盟会社は審査で却下という判断を下すので、その後カードローンに限らずクレジットカードやキャッシング等あらゆる金融商品の審査を通過することができません。

 

異動情報は完済するまで記録が残り、完済後も5年間データは保持されています。

 

法人カードローンも長期の延滞履歴があると、その後5年以上は新規の借り入れができなくなります

 

この期間は融資による資金調達方法が不可能となるので、「少しくらい遅れたって大丈夫」なんて考えず、返済計画を立ててしっかりと返していきましょう。

 

督促電話や督促状の発送

 

カードローン会社は延滞が発生すると督促電話や督促状の発送を行います。

 

これはペナルティではありませんが、事業だけでなく生活にも大きな影響があります。

 

カードローン会社から頻繁に督促状が送られてきたり、督促電話がかかってきたりすれば従業員に不安を与えることになります。

 

また、取引先にも知られることになれば、様々な影響がでてきます。

 

特に個人事業主であれば自宅にも督促電話や督促状が届くので、家族にも不安を与えたり心配をかけたりすることになります。

 

しかし延滞が長期化する場合にはカードローン会社に早めに相談することで督促を回避できます。

 

カードローン会社では事情によって再度契約を組み直す「リスケジューリング(リスケ)」を実施することが可能。
現在の経営実態に合わせ、返済しやすい金額で契約を組み直せます。

 

これが実施されること、督促がなくなるだけでなく、健全な経営を歩み出せるキッカケにもなることでしょう。

 

延滞を放置しているとカードローン会社は法的な手段で裁判所を通した取り立てを行い、最終的には差し押さえも可能となります。

 

そうなる前に早めに相談しましょう。

 

遅延損害金の発生

 

返済滞納した場合の金銭的なペナルティとしては遅延損害金があります。

 

貸金業法では遅延損害金は年20.0%が上限と定められていますが、具体的にはどれくらいの金額がかかるのでしょうか?

 

遅延損害金は約定返済日に支払いをしなかった場合に、1日単位でかかる上乗せ利息のことです。

 

50万円の返済残高があるときに年20.0%の利息で、30日延滞した場合の遅延損害金は以下の通りです。

 

50万円×20.0%÷365日×30日=8,219円

 

本来の利息が年18.0%としても、それ以上の利息が上乗せされるので、利息負担は2倍以上となってしまいます。

 

しかも延滞を解消するまで遅延損害金の請求は続くので、延滞が発生したら早期に解決することが必要です。

 

延滞が長期化する場合の対処法

 

延滞が長期化することがはっきりしている場合ほど、早めの対処が必要となります。

 

問題を先送りしても延滞金が増え続け督促も継続されるので、いいことはひとつもありません。

 

カードローン会社の担当者にリスケの相談をしたり、弁護士に相談したりすることが解決の近道です。

 

特に複数のローンを抱えている場合は、事業を継続しながら一人で解決するのは難しいでしょう。

 

弁護士に相談して自己破産、特定調停、任意整理といった債務整理を検討しましょう。

 

弁護士が受任すれば交渉先は代理人である弁護士となるため、督促行為はストップするというメリットがあります。

 

いずれにしても手遅れになる前の早めの対応が重要となります。

 

まとめ

 

法人カードローンで返済滞納した場合は、なるべく早く対処することが重要ということがおわかりいただけたでしょうか。

 

対処が遅れるほどカードローンの利用停止やブラックリスト入りのリスクが高くなります
また督促といった取り立て行為も法的な規制があるとは言え、家族や従業員への不安を高めてしまいます。

 

弁護士への債務整理を依頼する段階では、個人信用情報機関に登録され5年以上もローン利用ができなくなる可能性が高くなります。

 

こうした状況になる前に資金調達計画とともに返済計画もきちんとし、法人カードローンの返済滞納を予防しましょう。