ノンバンクから事業資金の融資を受けるメリットとデメリット
中小企業経営者や個人事業者等の小規模事業者が運転資金を調達する方法としては、信用金庫も含めた銀行などの金融機関からの融資が多いことでしょう。
審査に時間がかかったり、提出書類が多かったりというデメリットもありますが、銀行融資は低金利という大きなメリットがあります。
これに比べるとノンバンクからの事業資金調達は、高金利でメリットがないと考える経営者は少なくありません。
しかし、ノンバンクの融資にも大きなメリットがあり、高金利も活用しだいでそれほど負担にはなりません。
今回はノンバンク融資のデメリットを踏まえた上で、メリットを最大限に活用する方法を解説しましょう。
ノンバンク融資のメリット・デメリット
ノンバンク融資のメリット・デメリットを解説する前に、まずはノンバンクとはどのようなものかを解説しましょう。
ノンバンクとは?
ノンバンクは銀行法で規制されている金融機関以外で、貸付を業務としている金融業者のことです。
ノンバンクは貸金業法で規制されていて、貸付業務をするためには登録が必要となる「貸金業者」です。
いわゆる街金融も貸金業者ですが、規制が厳しく利益を出すことも難しいので、現在の貸金業界は大手の金融業者で占められています。
具体的には消費者金融会社、信販会社、クレジットカード会社、リース会社などが一般的にノンバンクと呼ばれています。
貸金業法が改正される以前は社会問題となったこともありますが、今は厳しい規制のもとで営業しているので利用するのに何の不安もありません。
むしろ、上限金利が利息制限法と同じにまで引き下げられているので、ノンバンク融資を活用するのであれば今がチャンスといえます。
ノンバンク融資のデメリット
ノンバンク融資には2つの大きなデメリットがあります。
それは高金利であるということと、融資金額の上限が銀行に比べるとかなり低くなるという点です。
銀行融資も金利が高くなるというのは、ノンバンクの資金調達方法に原因があります。
ノンバンクも基本的には銀行融資を受けて資金を調達しているので、必然的に銀行融資よりも高金利となります。
さらに審査基準を銀行と同じにしていては利用者がほとんどなくなるので、銀行融資と比べて審査基準は低くなります。
そのためにリスクも大きくなるので金利はそれなりに高くすることになります。
融資金額の限度額が少ないのも、1件で大きなリスクを負わないように、リスクを分散するという意味があります。
しかし、これらのデメリットは考えようによってはメリットにもつながります。
ノンバンク融資のメリット
ノンバンク融資の最大のメリットは申込から融資実行までのスピードが早いということです。
つまり融資審査も早いということになりますが、スピード審査を可能にしている理由は次のとおりです。
1.融資額の上限が低い
2.審査にスコアリングシステムを導入している
3.金利が高いのでリスクを見込んだ審査ができる
1と3に関してはでデメリットですが、それが逆に融資スピードを早くできるというメリットにもつながっています。
2のスコアリングシステムは、ほとんどのノンバンクが融資審査に限らず、クレジットカード発行でも採用しているシステムです。
スコアリングは審査項目に点数をつけることで、合計点数が一定の基準に達すると審査を通過するシステムです。
点数化することでコンピューターで処理がしやすく、結果が出るまで時間を短縮することが可能となります。
スコアリングでは個人信用情報機関の提供する情報も点数化しているので、過去に事故歴があると大きなマイナスになり審査は通過しません。
このスコアリングシステムと、融資額が少ない、金利が高いという2つの要素による審査基準の低さによって審査スピードが速いのです。
ノンバンク融資の活用方法
ノンバンク融資のメリットとデメリットがわかったところで、どのように活用したらいいのか、その活用方法をご紹介しましょう。
ノンバンク融資の種類
すべてのノンバンクがあらゆる融資商品を提供しているわけではありませんが、一般的にノンバンクでも提供している融資商品は次のとおりです。
・事業者ローン
・ビジネスローン
・ビジネスカードローン
・不動産担保ローン
・個人向けローン
1.目的ローン
・自動車ローン
・リフォームローン
・教育ローン
2.フリーローン
・証書貸付
・カードローン
・不動産担保ローン
事業者向けローンは取り扱っていないノンバンクもありますが、消費者金融業界は全体的に縮小傾向にあります。
そのため消費者だけでなく事業者向けの融資に力を入れているノンバンクは少なくありません。
同じカードローンでも消費者向けよりも事業者向けのほうが金利は高くなります。
ノンバンクは消費者金融のノウハウはありますが、事業者融資の経験が少ないためリスクを見込んでいるためです。
ノンバンクの事業者向け融資は短期で利用
事業資金としてノンバンクを利用する場合は、短期返済を原則としましょう。
高金利といっても融資限度額はほとんどの場合500万円以下なので、低金利で高額融資を長期で利用したときと比べると、実額の負担はむしろ少なくなります。
具体的に負担する利息金額を比較してみましょう。
5,000万円を年利2.0%、500万円を年利10.0%で借りた場合の比較
5,000万円×2.0%=100万円
500万円×10.0%=50万円
上記の計算は1年間借りて利息だけを支払った場合の年間利息になります。
高額な事業融資は返済期間が3年という場合が多いので、実際にかかる利息総額はもっと大きくなるでしょう。
短期で少額の利用を心がけていれば、ノンバンクの金利が高くても実際に負担する利息はそれほど大きくならないということがわかるでしょう。
反対にいえば、ノンバンク融資を長期で借りるとそれだけ利息負担が大きくなるということになります。
ノンバンクは金利負担を考えて利用しましょう。
金利負担が少ないおすすめのビジネスローン
大手消費者金融のアイフルのグループが発行する事業者向けビジネスカードローン「ビジネクスト」は、金利は年率8.0%~18.0%、融資限度額は最大1,000万円を誇ります。
おすすめの理由としてはビジネスローンのなかでもトップクラスなる高い限度額にあります。
ノンバンクの事業者ローンの中では金利は標準的ですが、限度額が高いので長く付き合える一枚としておすすめです。
はじめて申込した場合はほとんどが最高金利の適用となる可能性が高いですが、最低金利と最大利用枠が適用されるまで、実績を積み重ねていきましょう。
最高金利が適用になっている間は少額・短期利用を徹底して金利負担を軽くしましょう。
ノンバンクの消費者向けカードローン活用法
事業者向けローンと比較して消費者向けカードローンは、かなり低金利に設定されています。
事業者でも消費者として利用することでメリットがあります。
ノンバンクカードローンのメリット
ノンバンクのカードローンのメリットは、保証人や担保が不要で審査が速い、さらにATMですぐに現金を引き出せるという点です。
事業者向けローンと同様に短期で少額の利用をしていれば金利負担は気になりません。
給与所得者であれば給料日前のつなぎ融資や、急な冠婚葬祭費用などに利用すると便利です。
個人事業主であれば生活資金をカードローンで利用することで、事業資金の調達金額を軽減するという使い方もできます。
しかし、初めての申込では最高金利が適用されるので、金利負担を軽減しながら何度も利用して実績を積み重ねましょう。
おすすめのノンバンクカードローン
プロミスは大手消費者金融会社ですが、SMBCグループの一員なので安心して利用できます。
プロミスのカードローンの特長として30日間無利息があります。
初回利用は30日間無利息になるので、30日以内であれば一度完済してから再度利用しても無利息です。
また、事業者向けの自営者カードローンの最低年利6.3%に比べて、個人向けカードローンは4.5%と低くなっています。
カードローンは作ってからの信用状況で金利が下がるので、何度も利用して最低金利まで引き下げると最大の効果があります。
まとめ
中小企業者が資金を調達する方法はいろいろあります。
融資の借入だけではなくファクタリングサービスや手形割引なども利用することも必要です。
また、同じ融資でも低金利の日本政策金融公庫や銀行融資は高額な設備資金・開業資金に利用するなど、目的によって資金調達先を変えることも重要です。
その中でノンバンク融資は緊急な資金ショートや短期のつなぎ資金に向いた資金調達方法です。
資金調達は一つの方法に頼らず、目的あわせて選択しましょう。
ノンバンクの融資はその選択肢の一つとなります。