ビジネスローン利用時の仕訳・勘定科目

個人事業者や中小企業経営者の中には、ノンバンクのビジネスローンを利用して資金調達しているケースも多いでしょう。

事業用の資金としてビジネスローンを利用すれば、必然的に仕訳の対象となるのは銀行融資と同じです。

今回はビジネスローンを利用した場合の仕訳や勘定科目について解説します。

借入金を仕訳する基本

まずは銀行融資、ビジネスローンを問わず借入金に関する仕訳の基本をおさらいしましょう。

長期借入金と短期借入金

事業資金を融資で調達した場合、「借入金」として仕訳をします。

借入金には短期借入金と長期借入金がありますが、個人事業主の場合はこの区別をしないで単に「借入金」として処理してもかまいません。

法人の場合は次の目安によって、長期と短期に仕訳しましょう。

長期借入金 決算日(期末)の翌日から1年を超えた支払い期限の借入金
短期借入金 決算日(期末)の翌日から1年以内の支払い期限の借入金

長期と短期の区別は一般的に上記の基準で行ないますが、もっと単純に銀行などの金融機関からの借入を長期借入金、それ以外の借入を短期借入金として処理することもあります。

どちらの仕訳をしても常に同じ仕訳で統一していれば問題はありません。

それでは貸方勘定科目と借方勘定科目の例をご紹介しましょう。

100万円を借入れた場合の記帳例

借方 貸方
現金(普通預金)1,000,000円 短期借入金1,000,000円

支払利息

融資を受けた場合必ず利息が発生します。
借入金を返済するときは利息も含めて返済することが多いので、返済をしたら利息は「支払利息」という科目で仕訳をします。
個人事業主の場合は「利子割引料」が勘定科目となります。

10万円返済して1,000円の利息を支払う場合

借方 貸方
短期借入金100,000円 現金(普通預金)101,000円
支払利息1,000円

貸方金額と借方金額は常に一致している必要があるので、貸方には利息を含めた返済金額を記帳します。
融資に伴う支払利息は経費として参入することができます。

また融資を受ける場合には利息のほかにも、さまざまな実費や事務手数料などもかかるので、その仕訳も必要になります。

融資に伴う諸費用と実費

銀行融資では利息のほかに保証料がかかることがあります。

第三者保証人がいないときに保証協会や保証会社などを付けることで融資を受けられます。

その場合、保証料を支払うことになりますが、保証料は基本的に利息と同じ扱いになり、勘定科目も同じです。

融資を受けたときにはそれ以外にも次の費用もかかります。

  • 印紙代
    1万円未満は非課税ですが、融資金額によって200円から2万円(5,000万円以下)までの印紙代がかかります。
    勘定科目は「租税公課」とします。
  • 事務手数料
    銀行によっては事務手数料として一律の事務手数料を請求する場合があります。
    事務手数料は「支払手数料」で会計処理しましょう。
  • 登記費用(不動産を担保にする場合)
    不動産担保ローンなどは抵当権設定登記が必要になるので、さらに仕訳が必要です。
・司法書士報酬…支払手数料
・登録免許税…租税公課
・登記簿謄本代…租税公課、支払手数料、雑費など
・印紙代…租税公課

ビジネスローンの仕訳

返済先が銀行であっても消費者金融会社であっても融資による仕訳のやり方は基本的に同じです。

しかし特に個人事業主の場合は、資金使途が事業用と個人用が混在することがあるのでその点に注意が必要です。

ビジネスローンでは個人利用可能な場合がある

ビジネスローンの中でもカードローン形式のものは資金使途がビジネス目的でなく、個人消費でも利用できる場合があります。

個人事業主がカードローンを利用する場合は事業用と個人用を分けて持つことが望ましいですが、1枚で利用する場合は注意しましょう。

個人消費や生計費にビジネスカードローンを利用した場合は、「事業主貸」の勘定科目にして事業用と区別しましょう(詳細は後述)。
個人利用の場合、当然金利は経費として処理することはできません。

事業費目的で借入した場合は「借入金」として銀行融資と同じ会計処理方法です。

ビジネスカードローンの仕訳

ビジネスカードローンでは返済方法がリボ払いで何度繰り返し利用しても、返済金額が変わらないという特徴があります。

つまりカードローンとしての請求金額は一本でも、複数の借入の返済が含まれていることになります。
カードローンで借入をする場合は、その都度、同じ勘定科目で仕訳しましょう。

返済する場合は複数の取引でも同じ日に同じ金額を返済するので、一度に仕訳をします。

10万円、30万円、50万円を別々の日に借入して、毎月同じ日に5万円ずつ返済する場合

ビジネスカードローンの仕訳事例

上記の借入金返済50,000円には3つの借入の返済金が含まれることになります。

リボ払いの返済金は利息を含んだ金額の場合もあるので、その場合は利用明細書を確認して、利息と元金を分けて仕訳しましょう。

毎月5万円の定額返済する場合、49,000円の元金は「借入金」、1,000円を「利子割引料」として仕訳します。

法人カードのキャッシングもビジネスローンと同じ

ビジネスローンのほかに法人カードを利用している法人経営者や個人事業主も多いことでしょう。
法人ガソリンカードなどは経費を車両ごとに管理できるので便利です。

個人事業主は個人カードの引き落とし口座を個人の普通口座にし、法人カードはビジネス用の銀行口座にすると、個人利用と事業経費の振り分けが簡単になります。

法人カードを経費決済に利用する場合は、借入ではないのでビジネスローンや融資とは違う仕訳をします。
法人カードで事務用品やサービスの決済をした場合は、法人カードの返済までは「未払金」として処理をします。

一方でキャッシングは明らかに短期借入金なので、ビジネスローンと同じ処理をすることになります。

しかし、法人カードのキャッシングはビジネスローンに比べて高金利で、会計処理も増えるので利用しないほうがいいでしょう。
法人カードは経費決済用に使用して、借入はビジネスカードローンに統一したほうが会計処理もシンプルになります。

個人事業主特有の勘定科目

個人事業主の場合、個人通帳から事業で使う商品を購入したり、事業用預金から個人で使う商品を購入したりということは普通にあります。

きちんと区別しておけば問題はありませんが、仕訳には個人事業主特有の勘定科目を使います。

それは「事業主勘定」と呼ばれている「事業主貸」「事業主借」の2つの勘定科目です。

事業用通帳からお金を引き出してプライベートで利用

事業主に貸したという考え方で、「事業主貸」で仕訳する。

個人通帳からお金を引き出して事業用に利用

事業主から借りたという考え方になり、「事業主借」として仕訳して必要な科目に振り替える。
本を購入したのであれば「新聞図書費」など。

個人のカードローンでお金を借りて事業用に使用した場合も同じ考えで仕訳します。

借りたのは個人なので借入金として処理する必要はなく、「事業主借」によって「新聞図書費」などに振り替えします。

反対にビジネスローンで借り入れたお金を個人消費した場合は、「事業主貸」に仕訳します。

そのお金を何に使っても経費にはならないので、「事業主貸」をほかの科目に振り替える必要はありません。

仕訳を楽にする方法

青色申告をしている個人事業主にとっては、仕訳作業は本来の仕事のほかに行なわなければいけない手間がかかる作業です。

ビジネスローンの仕訳に限らず必要経費等はすべて仕訳をする必要があります。

会計や簿記の知識があれば別ですが、サラリーマンをやめて開業した場合などは、仕訳をするだけでも大変です。

仕訳作業を楽にする方法としては会計ソフトの導入が最も簡単です。

最近の会計ソフトは小規模事業であれば無料で十分活用でき、低料金である程度規模が大きな事業者でも活用できます。

銀行口座や各種サービスと連動して、自動で仕訳することも可能なので、一度検討してみましょう。

まとめ

ノンバンクのビジネスローンは高金利なので事業性資金の調達に利用しないと考える経営者も多いでしょう。

しかし、審査スピードも速いビジネスローンは急な資金ショートに対応できます。

金利は経費として計上でき、短期で少額の利用に徹すれば金利はそれほど負担になりません。

仕訳方法も銀行借入とほとんど変わりはないので、まだ利用したことがない経営者は積極的に活用してみましょう。

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