融資を受けやすくするための銀行との付き合い方

中小企業経営者にとっては資金調達する上で銀行という存在はなくてはならないものでしょう。

銀行融資の借入をスムーズにするためにも、銀行の担当者とうまく付き合うことが重要となります。

単に融資借入をスムーズにするという目的ではなく、会社の信用力を高め信頼関係を築くことも目的となります。

今回は銀行等の金融機関との付き合い方やそのメリットを解説します。

銀行に嫌われる付き合い方

まずは銀行との付き合い方の悪い例をご紹介しましょう。
銀行に嫌われるような付き合い方を覚えておくことで、反対に良い付き合い方を学ぶことができます。

自社の都合だけを優先する

資金が必要になったときだけ、銀行に融資をお願いするだけの付き合い方では銀行にはメリットがあまりありません。

銀行との付き合いに限らず、自分の都合だけを押し付ける相手とは付き合いたくないというのは一般的な常識です。

融資を依頼するだけでは銀行のメリットは利息による利益だけになります。

銀行業務は融資だけでなく定期預金など色々なサービスがあります。

融資が必要ないときでも銀行のサービスを積極的に利用してくれる企業のほうが、銀行に好かれるということを覚えておきましょう。

取引銀行を簡単に変える

金利が低い融資を利用するというのは経営者にとっては当然のことですが、そんな理由で取引銀行を変えていてはいつまでたってもメインバンクはできないでしょう。

同じ銀行を長く利用することで、自社の事業内容や経営状況を理解してもらうことがメインバンクのメリットです。

金利によって取引銀行が変わるような企業では、経営不振になったときに助けてくれる銀行はありません。

目先の融資条件にとらわれないことが、長い目で見ると大きなメリットになります。

担当者を飛び越える

融資を依頼するときに融資担当者を飛ばして直接支店長などに掛け合う経営者がいます。

支店長と長い付き合いという場合は別ですが、一般的には支店長はすべての取引企業を把握していません。

最も取引企業を理解しているのは、やはり直接の担当者なのです。

頭越しに支店長に話をしても、結局は支店長も担当者に確認することになります。

担当者を飛ばして支店長に掛け合うと話は早いように思えますが、結果が良くなることはありません。

むしろ、切羽詰まっているという印象を与え、担当者の印象も悪くなりその後の悪影響も大きくなるのでやめましょう。

銀行との付き合い方の基本

銀行取引の基本を学ぶことで銀行との正しい付き合い方を学ぶことができます。
まずは基本的な銀行との取引方法を覚えましょう。

当座預金の開設

法人口座には普通預金と当座預金がありますが、この違いをまず理解しましょう。

▼普通預金
・貯蓄のための口座
・利息がつく
・預金通帳を発行
・金融機関破綻の場合1,000万円まで保護

▼当座預金
・決済口座
・利息がつかない
・通帳の発行がない
・金融機関破綻の場合、全額保護

手形や小切手を決済するための口座が当座預金ですが、普通預金を開設するよりも審査が厳しくなります。

反対に当座預金が開設できれば銀行から一定の信用を得たということにつながります。
会社の信頼度を高めることにもなるので、当座預金は開設しておきましょう。

銀行は民間企業であることを意識する

当たり前のことですが銀行は公的機関ではなく民間金融機関です。

不特定多数から預金を集めるので公的な意味合いを持っていますが、利益を追求する民間会社であることを忘れないようにしましょう。

そう考えると銀行の担当者もノルマを抱えるサラリーマンであるということがわかるでしょう。
銀行というと事務的な対応をイメージしますが、サラリーマンだと考えると銀行担当者との人間的な関係を築くことも大切です。

しかし一般企業と大きく違う点は厳しい金融庁の検査がある点です。
そのため貸倒れや不良債権を抱えるといったリスクをおかすことはできません。
銀行と付き合うためには健全な経営を心がけるという点が最も重要です。

定期的に自社の情報を開示する

銀行融資を受けるときは決算書を提出しますが、融資申込するとき以外でも定期的に情報提供を心がけましょう。

半期ごとに試算表や決算書を提出して、常に現状の経営状況を開示するようにしましょう。
書類を担当者に届けさせるのではなく、年に1回は経営者が挨拶を兼ねて支店長を訪問するのもいいでしょう。

融資を受けるときだけ出向くのではなく、ふだんからの顔つなぎも重要です。

メイン銀行として付き合う

事業資金を調達することだけが銀行を利用する方法ではありません。
ふだんからあらゆる銀行サービスを活用することで、銀行側にもメイン取引先という意識ができます。

企業側が勝手にメインバンクだと思っているだけでなく、銀行にもメインという意識付けが必要です。

職域として利用する

銀行側がメイン取引先として考えているのは、金融商品の利用だけでなく企業全体での取引をしてくれる会社です。

・社員の給与振込
・個人向け国債
・財形振込
・役職員取引
・提携社員ローン
・投資信託

上記のような取引を職域として利用していれば、銀行側にもメイン取引先という意識が出るでしょう。
また銀行主催で顧客サービスとして勉強会などを実施することがありますが、こうしたイベントにも積極的に参加しましょう。

メインバンクの選び方

一行取引という考え方もありますが、メインバンクを一行決めてサブバンクを複数行持つというのが一般的です。
メインバンクは都市銀行でなくてはいけないということはありません。
自社の規模に合わせて都市銀行に限らず地方銀行や信用金庫もメインバンクの候補にしましょう。

むしろ中小企業が都市銀行をメインバンクにしてしまうと、銀行側がメイン取引先として意識しないため効果がないことが多いでしょう。
事業が順調に推移してより大きい融資取引が必要になるまで、都市銀行をメインにするのは見合わせたほうがいいでしょう。

メイン銀行の付き合い方

銀行がメイン取引先に求めるのは融資取引だけでなく預金取引もあります。

融資金額の比率や預金残高の比率はメインバンクを最大にすることが必要です。
期中での動きはあっても期末の決算時には、メインバンクの比率を高めましょう。

売上入金、手形・小切手決済、口座振替、振込に関してもメインバンクの比率を高めることで、会社の経営状態をメインバンクに知ってもらえます。
メインバンクが融資しやすい状況であれば、サブバンクも融資しやすくなるのでメインバンクを中心に利用することが大切です。

銀行融資を借りやすくする

銀行は取引先企業を格付けしています。
いくら銀行との取引が長くても、格付けが低ければ融資をスムーズに受けることはできません。

そのため銀行との付き合いを深くするだけでなく、自社の格付けを上げる努力をすることが重要です。
格付け評価には3段階ありますが、第1次評価は決算書の内容によって決定するので、すぐに改善できないことが多くなります。

3次評価も土地や有価証券の含み益や経営者の資産力がプラスになるので、簡単には改善できません。

2次評価は、

・経営者の能力
・市場の将来性・成長性
・過去の返済履歴
・経営計画策定能力、財務管理能力
・販売力
・技術力
・マスコミ記事
・業歴

が評価されます。

この中で経営者の能力・過去の返済履歴・経営計画策定能力・財務管理能力などはふだんの努力で評価を上げることができます。

例えば財務管理能力は、各種財務計数を読み取り、解決策を考え実行する能力です。
経営者がこの能力を高めるための勉強をして習得すれば、経営者の能力も同時に評価されます。

これを社長が銀行主催の勉強会に参加して習得すればさらに効果的です。

まとめ

銀行との付き合いはお金に関することだけではなく、銀行に対する信用力を高くする目的もあります。
信用力は一朝一夕にできるものではなく、長い時間をかけて築くものです。

融資案件の場合は借りた後の返済が重要となるので、延滞しないで確実に支払うこともそのひとつです。

また、資金繰り表やキャッシュフロー計算書といった資料を作成して、会社経営を先まで考えることも重要です。
常日頃から融資担当者に相談できる関係性を築くことも大切です。

政府系金融機関の日本政策金融公庫も、銀行と同じように信用力をつけることで融資を借りやすくする可能性を高めることができます。
政府系・民間を問わず、金融機関との付き合い方をもう一度考えてみましょう。

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