設備投資とは?土地の扱いや会計のことまでわかりやすく解説

設備投資は事業に必要な設備に投資をすることです。

設備投資の対象は土地や建物といった不動産から、生産に必要な機械からソフトウェアまで幅広くあります。

設備に種類によって会計の扱い方も異なる設備を、中小企業経営者で完全に理解している人は少ないのではないでしょうか?

今回は設備投資のタイミングやから会計処理まで徹底的に解説します。

設備投資の種類とタイミング

設備に投資するということは企業としての生産能力をアップし、企業収益を高めることにつながります。

特に製造業では生産効率がよし製造機械を導入することで、直接収益に影響があります。

企業が設備投資を行なうタイミングにはどのように決めたらよいでしょうか?

フリーキャッシュフローで設備投資を判断

キャッシュフローは企業のお金の流れを表わす計算書のことで、企業の手元に残る現金が減少傾向なのか増加傾向なのか、またその原因も把握することができます。

その中で企業が自由に使えるお金の流れを「フリーキャッシュフロー」とよんでいます。

フリーキャッシュフロー=(税引後営業利益+減価償却費)-(設備投資額+運転資金増加額)

フリーキャッシュフローは上記のように、減価償却費を含んだ実質的な利益から、すでに設備投資している金額と運転資金の増加分を差し引いて計算します。

純粋に事業活動による「営業利益」から、自由に使えない税金を差し引き、実際には支払いが生じない減価償却費を加えた金額が自由に使えるキャッシュです。

さらに設備投資額と運転資金の増加額を差し引くと、現状でのフリーキャッシュフローがわかります。

設備に新たに投資をするとこれがどのように変わるかを予想することで、設備投資をする時期などを判断することができます。

設備投資を新たにすると、当然ながら設備投資額も増加します。

設備投資したことで営業利益と減価償却費の増加を予測して、フリーキャッシュフローを計算します。

現状よりも改善されるのであれば設備投資は成功する可能性が高いと判断できます。

設備投資のタイミングに悩んだ場合はフリーキャッシュフローで判断してみましょう。

土地や建物の設備投資

不動産の設備投資は製造機械のように直接売上高の増加に結びつかないので、会社設立前に十分に検討する必要があります。

特に土地の場合は減価償却もできないので、一度購入すると固定化した負担となります。

借地として地代家賃で経費計上するほうがいいのか充分に検討しましょう。

建物は減価償却可能ですが、これも家賃として処理すると効率が良い場合があるので、もともと持っている不動産の場合は別ですが、検討する余地があります。

事業が軌道に乗って事務所や工場を増設する場合は、フリーキャッシュフローに照らし合わせて購入と賃貸のどちらがよいか決めましょう。

ソフトウェアの設備投資

設備には不動産や動産の他にソフトウェアも含まれます。

土地・建物や機械装置、工具などは「有形固定資産」、ソフトウェアや営業権、漁業権、商標権、営業権は「無形固定資産」に分類されます。

有形固定資産では設備投資によって製品の生産力・利益率がアップし収益性にも寄与する可能性があります。

無形固定資産の中には事業をするために不可欠な権利などもありますが、ソフトウェアの場合は経費節減などに結びつく場合があります。

ソフトウェアの設備投資をする場合は長期的な展望で、企業の成長や生産性、合理化にどれくらい寄与できるのか充分に調査しましょう。

他社が導入しているという理由だけでなく、自社にとってのメリットで導入を決定しましょう。

マクロの視点で設備投資を判断する

設備投資をするかどうかの判断基準には、今後売り上げが上昇するかどうかという見通しも必要になります。

企業として設備投資することで合理化が進み、生産性が上がるということは見通しが立ちます。

しかし肝心の消費が落ち込み売り上げに結びつかないようでは、結果的に設備投資は失敗します。

経済成長予測の方法

経済成長予想といっても自分で予測する必要はなく、国が発表する予測や指標をチェックするだけでかまいません。

難しい経済用語を覚える必要もなく、自分の業界が全体的に好調なのか低調なのかが判断できればよいのです。

例えば中小企業であれば、経済産業省管轄の中小企業庁では「中小企業景況調査」の結果を公表しているので参考になるでしょう。

普段からTV・新聞・業界紙などに目を通すことや日銀の「全国企業短期経済観測調査」も役に立ちます。

難しく考える必要はないので、景気の動向の判断さえしっかりしておけば、設備投資のタイミングを大きく間違えることはありません。

ミクロ視点での情報収集も大事

世間一般で景気が良いからといって必ずしも自社に利益に結びつくとは限りません。

直接関係のある取引先や金融機関からの情報も重要です。

取引先が上場企業であれば会社四季報も参考にすることができます。

また、取引銀行から取引先の情報を仕入れることも役に立つでしょう。

取引先が好調であれば自社製品の需要が高くなることも予想できるので、設備投資の良いタイミングになります。

マクロとミクロの両視点で情報を収集して設備投資の参考にしましょう。

収集した情報を活用

情報収集は手段であって結果を判断するのは経営者ですので、情報をどのように設備投資に結びつけるのかが、経営者として判断能力・分析能力になります。

設備投資は成功すれば大きなプラスになりますが、投資にはリクスが伴うことも忘れないようにしましょう。

収集した情報と自社の状況を考慮して、生産性向上・成長力強化・採算性などに結びつくかどうかを判断しましょう。

資金調達先の確保ができるかどうかなど、結論はあらゆる方向から検討することが大切です。

資産の会計処理

設備投資をした場合どのように会計処理するのか、減価償却可能な資産なのかは充分に理解しておきましょう。

土地購入の場合

不動産業者が販売用に購入した土地の場合は、商品扱いなので棚卸資産となりますが、事業用に購入した場合は固定資産として処理します。

土地購入に付随してさまざまな費用がかかるので、それぞれ勘定科目が異なります。

▼土地の取得原価
・土地の購入費
・不動産業者の仲介手数料
・土地の造成、改良費用
・立退料、建物等の取壊費用

上記は合計して土地取得原価となり、固定資産に計上します。

▼上記以外の土地取得にかかる費用の勘定科目
・土地購入のための借入利息(支払手数料)
・不動産取得税、登録免許税など登記にかかる費用(租税公課)
・違約金が発生する場合(支払手数料)

以上の費用はすべて減価償却の対象にはなりませんが、土地の取得にかかる費用は経費として計上できます。

減価償却できる固定資産

基本的に土地以外の有形・無形固定資産は減価償却することによって、毎年経費として計上して課税対象金額を減らすことができます。

減価償却は経年減価、つまり年月が経過することで価値が下がるものに対して、同じ評価で課税するのは不合理であることからできた制度です。

基本的な考えとしては購入当初100万円の価値があっても、1年経過すごとに10万円価値が下がるのであれば、翌年には90万円に対して課税してバランスをとります。

すべての固定資産には法定耐用年数が決められ、それに応じた減価償却率も決まっています。

これらに従って適切な減価償却を行なう必要があります。

ちなみに研究開発のためだけに購入した機械装置は、製品の生産などの役には立たないので固定資産ではなく「研究開発費」として経費計上します。

固定資産でも一括経費計上できるケース

固定資産はすべて減価償却処理しなくてはいけないということではありません。

少額の場合は一括で経費として計上することができます。

1.10万円未満の固定資産
2.青色申告の個人事業主・中小企業は30万円未満
3.10万円以上20万円未満は3回の分割で減価償却できる

1と2のケースでは固定資産ではなく経費として計上します。

3のケースは固定資産として計上して毎年1/3ずつ減価償却できるので、耐用年数とは無関係で計算も簡単になります。

まとめ

経営者にとって設備投資は重要な企業行動になります。

自社だけではなく社外環境にも影響されるため簡単には決断できませんが、適切な設備投資は利益額の増加に結びつきます。

設備投資の計画は慎重に情報を収集して決断したら大胆に行ないましょう。

設備投資を決断する最も重要な点は現状維持ではなく、現状以上の成果に結びつくかどうかです。

現状維持をしようという消極的な姿勢で設備投資をすることはプラスにならないので、設備投資は積極的な姿勢で考えましょう。

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