銀行融資の審査を通過するためのポイント
銀行融資は中小企業経営者の事業資金調達方法としては、最も一般的な手段です。
担保提供ができれば低金利で利用でき、担保がなくても連帯保証人や保証協会付きでも臨機応変に貸付が可能です。
今回は銀行融資の特長と審査を通過するポイントについて解説します。
銀行融資審査で企業を判断するポイント
銀行融資の審査では企業のどのような点に注目して審査しているのでしょうか?
まずはじめに銀行が企業を判断する審査ポイントを解説します。
損益計算書のポイント
損益計算書では経常利益よりも営業利益が審査のポイントとなります。
経常利益は一時的な利益や損失を反映しているので、大きな不動産の売却損があれば、全体で赤字となってしまいます。
これではその企業がどれくらいの営業力があるのか図ることができません。
そのため営業利益をチェックしてコンスタントに利益を生み出す力がどれくらいあるのかを判断します。
営業利益は銀行審査に有利になるために、普段から決算書の記載で気をつけるポイントがあります。
サブ事業も営業利益に含める
サブ事業でも継続的に行っているのであれば、営業外収益ではなくメイン事業と同じ売上に含めましょう。
これによって営業力をより高く示すことができます。
他社負担や従業員負担はしっかり差し引く
販売管理費で他社負担分が後から入金になった場合や、社宅の従業員負担分は雑収入ではなく販売管理費から差し引きましょう。
経費負担を減額することで、売上高を実際に金額にすることが大切です。
貸借対照表のポイント
融資担当者が賃借対照表を見てまずチェックするのは純資産です。
純資産は資本金に毎年の利益が加わった金額から総負債金額を差し引いたものです。
これがプラスであれば、企業として手元に残っている資産があるということですが、マイナスの場合は債務超過になっていることを示します。
さらにプラスであっても資産を詳しく調べると、帳簿上よりも実際の価値が低いこともあります。
それらを加味して実際にどれだけの資産があるのかという点が審査のポイントになります。
これは決算書の記載方法で調整できないので、資金調達を融資に頼る場合は純資産がマイナスにならない範囲に留めることが重要です。
自己資本比率のポイント
自己資本比率は次の計算式で表します。
この自己資金比率が高いほど銀行融資では有利になります。
自己資本比率を高める方法としては自己資本の増額と、総資本(負債)の減額しかありません。
もし役員が会社に貸付しているお金があり、返済の予定もないとしたら債務免除することで負債を減らすことができます。
銀行融資対策としては最も簡単にでき、効果的です。
銀行融資で提出する必要書類
銀行融資に必要な提出書類は消費者金融会社のビジネスローンと違って、書類の種類が多いという特徴があります。
まずはどんな種類の書類があり、必要な理由を解説しましょう。
一般的な提出書類
法人の場合は一般的に下記の書類が必要となります。
2.事業方針説明書類書類
3.資金使途資料
4.資金繰り表
5.事業計画書
6.決算書類一式(貸借対照表・損益計算書・製造原価報告書・株主資本変動計算書・販売費一般管理費明細)
7.試算表(月次決算)
8.その他勘定科目明細、別表、法人概況説明書等
商業登記簿謄本は個人の住民票に相当するもので、企業として存在しているかどうかを確認します。
2は事業内容や営業方針を示す資料で、創業資金の他に高額融資などでも求められます。
資金使途資料は設備資金の申込では必須です。
資金繰り表は月単位や一日単位での資金繰りを表すもので、これを提出すると自社の資金繰りを把握していることが伝わるので、必須の書類ではありませんが積極的に提出しましょう。
月次の決算書は直近の決算を示す資料として求められることがあるので、決算書の補助資料として提出しましょう。
事業計画書は将来の見込みを示す重要な書類となります。
赤字であれば必ず却下されるわけではなく、事業計画書で実現の可能性がある事業内容を示すことができれば、それに必要な資金の調達も可能です。
銀行融資では過去も調査しますが将来性も審査の判断にするのです。
提出書類はきちんと説明できるようにしよう
銀行への提出書類は提出してそれで終わりではありません。
必ず融資担当者から書類に関する質問があります。
あらゆる質問を想定して、書類に矛盾がないどうかもチェックしてから提出しましょう。
意図的に改ざんしていればその時点で審査は却下となる可能性もあります。
特に決算書類は普段から気をつけて作成するように心がけましょう。
銀行審査に悪影響がある延滞
銀行融資では個人事業主や法人代表者の返済状況など審査に影響するものがあります。
どのような点が審査に影響するのか考えてみましょう。
個人のクレジットや融資の利用
銀行は銀行系の個人信用情報機関KSC(全国銀行個人信用情報センター)に加盟している他に、クレジット系のCICにも加盟しています。
これらの個人信用情報機関の情報で個人の信用調査するのです。
また人的担保として第三者の連帯保証人がついている場合は、同じく保証能力とともに信用状態もチェックします。
KSCでは過去に銀行融資や住宅ローンなどを利用した実績、CICではクレジットカードやカードローンなどの利用実績を調査できます。
これらの利用が長期延滞となっている場合、法人審査でも却下となる可能性があります。
個人利用が事業融資の妨げにならないよう普段から支払には十分注意しましょう。
税金の延滞
銀行融資では税務署発行の納税証明書を求められることがあります。
所得税の延滞がないかどうかを証明するためですが、税金の延滞があると銀行審査では却下になります。
必ず延滞を解消してから納税証明書を取得しましょう。
意外な加盟会社も個人信用情報機関に登録している
CICやKSCといった個人信用情報機関には通常、銀行・クレジットカード会社・貸金業者・リース会社といった与信会社が加盟しています。
これは審査のときに個人信用情報機関の情報を参照するからです。
しかし、中には携帯キャリア会社や日本学生支援機構といった団体も加盟しています。
スマホや携帯電話を分割で購入するとCICに支払状況が記録されます。
また、奨学金を3ヶ月以上延滞するとKSCに事故情報(ブラック情報)として登録されてしまいます。
クレジットだけでなく考えもしない延滞が銀行審査に影響することもあるので気をつけましょう。
ちなみに政府系金融機関の日本政策金融公庫もKSCに加盟しているので延滞は厳禁です。
銀行審査のスピード
提出書類が多いことや決算内容を細かくチェックすることから、銀行融資申し込みから融資実行までは時間がかかります。
ノンバンクの審査と違い銀行融資は稟議書を作成して決裁権限者から承認してもらう必要があります。
そのため審査担当者が融資申込者から事業内容・決算内容などを聴取して、さらに決裁者を納得させることが必要となります。
場合によっては書類の追加提出などもあるので、数ヶ月は見込んでおきましょう。
不動産などの物的担保を提供をする場合は、さらに抵当権の設定などで借入までに時間も費用もかかります。
借入目的が高額な設備資金ではなく、短期のつなぎ資金や少額の運転資金であればノンバンクを利用することも考えましょう。
ノンバンクの審査は早い場合は即日でも融資可能です。
AGビジネスサポートのビジネスカードローンは最大1,000万円の利用が可能で(初回は最大500万円)、何度も繰り返して利用できるので一枚持っておくと緊急時にすぐ対応できておすすめです。
融資の使いみちが設備資金なのか仕入資金なのかという点も考慮して資金調達先を考えることも必要です。
まとめ
審査で重要なのは返済財源や返済能力ですが、銀行審査では将来性も含めて審査をします。
個人に対する審査であれば返済能力がなければ審査は通過しませんが、事業性融資の場合は融資をすることによって売上増加が見込めるという点も考慮します。
つまり将来性をアピールすることが重要になります。
提出書類を不備なく提出することも大事ですが、融資によって事業に与えるプラスの面を融資担当者にしっかり伝えることが審査通過に大きく影響します。
銀行融資は実行までに時間はかかりますが、低金利で高額の事業資金を確保することができます。
事前に充分に準備をしてから銀行融資の申込をしましょう。