ビジネスローンの必要書類
個人事業主や中小企業経営者の方は緊急の資金調達用に、事業者向けのカードローン、ビジネスローンを利用すると便利です。
貸金業法の改正以来、低金利のビジネスローンも増えているので、短期で利用することを前提とすれば金利負担も少なくて済みます。
事業資金調達先としては銀行融資が一般的ですが、事業計画書・返済計画書の提出など提出書類も多く、低金利のメリットはありますが融資実行まで時間がかかるというデメリットもあります。
これは消費者金融や銀行カードローンなど個人向けカードローンでも同じことが言えるのですが、審査の大前提として申込者の確認と所得の確認が必ず必要になります。
事業資金の確保を目的とした会社などの法人や個人事業主が利用するビジネスローンでは申込者の情報だけでなく、企業や事業での所得も融資を受ける際には重要になるので用意すべき書類が必然と多くなります。
今回はビジネスローンを申込む際に必要な書類や申込前に気をつける点について解説します。
ビジネスローンに必要な書類
ビジネスローンでも申込対象が法人の場合と個人事業主の場合で必要な書類は違ってきます。
それぞれの場合で必要な書類について解説しましょう。
本人確認書類は法人・個人申込どちらも必要
法人の申込でも個人での申込でも本人確認書類は必要となります。
法人で申込した場合、法人代表者が連帯保証人となるのが一般的なので、代表者の本人確認書類が必要となります。
本人確認書類として有効なのは次のとおりです。
運転免許証 | 住所を変更している場合は裏面もコピー。本籍地・免許の条件等・臓器提供の意思表示欄があればわからないようにコピー。 |
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パスポート | 日本国内で発行しているもの。氏名・生年月日・性別・住所を記載している個所をコピー。 |
健康保険証 | 氏名・生年月日・性別・住所を記載している個所をコピー。通院歴の記載や臓器提供の意思表示欄は見えないようコピー。 |
基本的には上記のどれかの写しを提出します。ほかにも住基カードや個人番号(マイナンバー)カードなども本人確認の書類として有効です。
法人申込で必要な提出書類
法人申込で必要な書類は次のとおりです。
- 登記事項証明書(商業登記簿謄本)
- 印鑑証明書(法人・個人のもの)
- 決算書
商業登記簿謄本は個人の住民票に相当する証明書ですが、過去の変更も含めて全て記載している「謄本」と一部記載の「抄本」を間違えないようにしましょう。
商業登記簿謄本には会社設立年月日も記載されているので事業歴も判断できます。
印鑑証明書は提出不要のビジネスローンも多いですが、決算書に関してはほとんどのビジネスローンで必要です。
また決算書は2期分が必要な場合や1期分で良い場合、決算書の代わりに経営状況報告書を提出する場合もあり、ビジネスローンによって提出のしかたは違います。
申込前に提出書類の部数などはチェックしておきましょう。
ビジネスローンに限らず融資の審査ではスコアリングとよんでいる審査システムを利用しています。
決算書の各項目を点数化してトータルスコアを審査の判断材料としますが、スコアリングはトータルで判断するので赤字決算は必ず却下されるわけではありません。
赤字をごまかすために修正するのはかえって不自然になるのでやめましょう。
個人事業主が必要な提出書類
個人で申込む場合に本人確認の証明書以外では確定申告書が必要です。
確定申告書も2期分と1期分でいい場合があるのでチェックしましょう。
個人事業主はなるべく経費を増やして納税金額を少なくしようとするので、課税所得金額は低くなる傾向にあります。
同じ経費でも実際に対象年度に支払っていない減価償却費などもあるので、所得金額の数字だけでは実際の所得金額はわかりません。
決算書では経費の詳細もわかるので、単なる所得証明書よりは実態を把握できるメリットがあります。
同じ赤字でも売上が下がったことが理由なのか、経費が一時的に増えたものかの判断はカードローン審査担当者であれば理解できます。
経営に自信があれば赤字でも心配する必要はありません。
登記簿謄本・印鑑証明書はストックすると便利
ビジネスローンを利用するしないにかかわらず常に準備しておいたほうがいい書類があります。
- 登記簿謄本(法人)
- 印鑑証明書(法人・法人代表者・個人事業主)
法人の登記簿謄本は意外に要求されることが多いので、定期的にまとめて取得している法人も少なくありません。
3ヶ月以内のものが要求されるので3ヶ月に1回は取得して常に最新のものをストックしておくといいでしょう。
法務局が近くにない法人も多いのでそのつど取得するのは非効率的です。
最近では登記簿謄本の取得代行サービスもありますが、印鑑証明書は印鑑カードが必要なので代行サービスがありません。
印鑑証明書を取得するときに、登記簿謄本も同時に取得してセットでストックしておきましょう。
ビジネスローン申込前にチェックすること・注意点
ビジネスローンにも種類があるので、申込対象とならないビジネスローンに申込すると時間が無駄になります。
申込前にチェックすべき点や注意点をまとめてみました。
クレジットカードと違い年齢の上限がある
クレジットカードの申込基準は年齢の上限はほとんどありませんが、ビジネスローンなど融資商品は年齢の条件が記載されています。
一般的には20歳以上が最低条件で、上限は65歳または69歳となっています。
年齢条件の記載がない場合でも20歳未満ではビジネスローンでなくてもあらゆる融資商品の対象外となっています。
適用金利と利用限度額
ビジネスローンの金利には幅があり、利用限度枠と連動しています。つまり低金利ほどカード利用枠も大きくなっています。
そのため見かけは低金利のビジネスローンでも、審査結果で最低の利用枠が設定されると適用金利も高くなってしまいます。
自分が必要とする利用枠に適用される金利はチェックしておきましょう。
しかし最初は最低の利用枠で決裁されても、利用を続けていくことで信用が高くなり増枠できる可能性もあります。
高金利が適用されてもあきらめずに短期利用を続けて金利負担を減らし、段階的に金利を下げることを目指しましょう。
連帯保証人は必要かどうかチェック
ビジネスローンでもカードローン方式ではない場合は連帯保証人を求められることがあります。
しかし高額な利用金額となるビジネスローンの連帯保証人となる人はほとんどいないでしょう。
基本的に無担保・無保証人を原則としているビジネスローンで連帯保証人を求めるということは、連帯保証人がいなければ審査が通らないという意味です。
連帯保証人がいなくても保証会社をつけられることがありますが、金利に保証料が上乗せとなるので負担が大きくなります。
ノンバンク系のメリットはも無担保・無保証人で審査が早いということです。
連帯保証人をつけるのであれば、もっと低金利の公的機関や銀行に申込したほうがいいでしょう。
ビジネスローン別の必要書類
個人でのカードローン申し込みであっても給料明細書などの提出をするケースがあり、ビジネスローンでも契約者が用意する書類に関しては大きな違いはありません。
しかし、法人代表者や個人事業者では給与所得などではないため、決算書や確定申告書で事業としての所得証明をする必要があります。
大きなポイントは事業歴を問われることが多いと言う点です。
新規事業立ち上げたり起業直後では収益が見込めないため、審査が不利になったり、利用できないビジネスローンもあります。
ビジネスローン | 申込条件(必要書類) |
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オリックスVIPローンカード BUSINESS | ▼身分証明書類 ・運転免許証 ・健康保険証 ・パスポート ▼事業収入証明書 ・所得税の確定申告書 ・源泉徴収票 ・課税証明書 ・年金通知書 |
ビジネスパートナー | ・本人確認書類 ・登記事項証明書(商業登記簿謄本) ・決算書(2期分) ※個人事業主の場合は確定申告書(2期分) |
プロミス自営者カードローン | ▼本人確認書類 ・運転免許証 ・健康保険証 ・パスポート ▼収入証明書類 ・確定申告書(前年度のもの) ・青色申告決算書(収支内訳書) ▼事業証明書 ・営業許可書(有効期限内のもの) ・受注書、納品書、請求書、領収書など |
AGビジネスサポート | ・本人確認書類 ・登記事項証明書(商業登記簿謄本) ・決算書(2期分) ※個人事業主の場合は確定申告書(2期分) |
事業所得は大きな要素を占めますが、代表者本人の信用情報も大きく作用してきます。
ビジネスローンでは担保・保証人が不要で利用できるメリットもあることから、申込者本人が連帯保証人というカタチで契約することがほとんどです。
法人での返済が困難になった場合、代表者に返済できる信用力があるのかを信用情報機関の情報照会を通じて問われることになります。
必要書類をキチンと揃え、誤字脱字など安易なミスがないようにしてビジネスローンを運転資金やつなぎ資金に役立てましょう。
おすすめのビジネスローン
提出書類や注意点もわかったところで、おすすめのビジネスローンを提出書類の観点から簡単にご紹介しましょう。
オリックスVIPローンカードBUSINESS(大手金融グループ系)
申込資格は法人代表者と個人事業主で個人が対象のカードローン。
■提出書類
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- 本人確認資料
運転免許証、パスポート、健康保険証のいずれか)
特に確定申告書の提出は義務付けられていないのて一般的な収入証明書で可。個人事業主は所定の「経営状況申告書」を記入。
プロミス自営者カードローン(消費者金融系)
対象となる申込者は20歳以上65歳未満の自営者
■提出書類- 本人確認資料
運転免許証、パスポート、健康保険証のいずれか。健康保険証の場合はもう1点住民票などが必要 - 年収の確認できる書類
前年の確定申告書写し(提出日が1月1日から3月31日の場合は前々年分も必要)
青色申告の場合は青色申告決算書または収支内訳書
AGビジネスサポートビジネスローン(消費者金融系)
法人または個人事業主(20歳以上69歳まで)。法人申込は法人代表者(代表権のある法人経営者)が連帯保証人。
■提出書類- 本人確認資料<
法人の場合は常人代表者のもの - 年収の確認できる書類
法人は決算書2期分、個人事業主は確定申告書2期分
- 本人確認資料
まとめ
ノンバンク系のビジネスローンはつなぎ資金など短期の事業融資に利用するには、融資スピードの点で最適です。
銀行系融資では低金利と引き換えに書類提出の多さや、収支計画書やノンバンク系では必要のない書類の提出や融資条件も多く、事業資金融資は簡単に簡単ではありません。
資金繰りの方法としてビジネスローンは最も手軽ですが、かといって審査が簡単なわけではありません。
まずは提出書類をきちんとそろえて事前準備を万全にすることがビジネスローンを利用する第一歩です。