自営業の年収は会社員よりも経費負担が大きい

今は会社員としても、いつかは自分自身で事業を興したいと考えている方も多いのではないでしょうか?

その理由の一つに自営者になれば年収が増えるという期待があるからだと考えられます。

もちろん、独立することで年収が増えることもあります。

しかし、逆に年収が減るといったケースもあり、そもそも会社員などの給与所得者と自営業を営む人との所得の考え方には額面だけで判断するのは難しい現状があります。

ここでは自営業の年収について詳しく考えていきましょう。

自営業になると残業代もボーナスも一切なし

自営業とは、株式会社や有限会社と言った法人格を持たない個人事業主と同じ意味です。

また個人事業主と聞くと一人だけでするのが自営業かと思われがちですが、人を雇っていても法人格を持たなければ自営業の扱いとなります。

意外にも【一人でする事業=自営者(個人事業主)】と思っている方も多いようです。

では、会社員と自営者の所得の扱いについて見ていきましょう。

企業に雇われている会社員の方は毎月給与が会社から支払われ、時期によってはボーナスが年2回支給されることも多いです。

会社員には安定した給与支給のほか、労働基準法があるので労働環境や残業代も一定の保証されているところもあります。

この労働基準法などを無視した過度な勤務環境を社員に強いているのが、いわゆる「ブラック企業」と呼ばれているものですね。

一方の自営業のケースでは、待っていれば誰かが給与を毎月支給してくれるものでなく、自分自身が事業で売上・収益をあげなければなりません。

労働基準法も自営業には当てはまらないため、自身の都合で働くペースを調整することができますが、手を止めるということは売上も下がるということです。

当然ながら利益がでなければボーナスのような一時金もありません。

働くことを止められない?自営業の働き方と実態

取り組む事業・業種によって異なってきますが、会社員から個人事業主となることで時間に自由になることは事実です。

しかし、働き方で言えば会社員と何ら変わらず、むしろ、厳しい環境になることも考えられます。

先でも説明したように個人事業主になると、自分が働いて利益を上げない限りは誰も給与を支払ってくれません。

週3日は休むことも自由ですが、その分、利益を上げるための時間が削られているため、自然と所得額も減ってしまいますし、休む気がなくても体調を崩してしまうと収入源が絶たれてしまうことも考えられます。

また、会社員時代にお付き合いしていた業者とのパイプがあるから独立したのに、先方から一方的に取引を中断されるということもありえるのです。

このように急に収益が見込めなくなる可能性もあるという不安を抱えながら自営者は働き続けざる得ないというのが実態ではないでしょうか。

自営業では年収よりも手取り額に注目

サラリーマンをしていた会社員時代からあこがれだった「年収1,000万円プレーヤー」も自営業であれば夢ではありません。

会社員であれば会社側から支給される給与を決められるため、自分の力だけではどうにもならないこともあります。

1,000万円以上の年収がもらえそうな業界・職種を一部ピックアップしましたが、もちろん、その他の仕事でも可能性はあります。

・大手の総合商社
・大手のマスコミ業界
・完全歩合制の営業職

しかし、そのような大手企業にまず就職できるかどうか、不得意、または嫌な仕事でも結果を残せるかどうかです。

逆に自営業であれば自分で作った収入の扱いは全て自分で決められるため、手取り金額として年収1,000万円も不可能ではありません。

要は自営業の場合は利益を増やせれば自分の年収も上限なく増やせるのです。

とはいえ、もちろん、年収を増やすのは自営業としてもカンタンなことではありません。

その理由は必要経費の自己負担にあります。

生活費だけでなく事業の固定費も必要

会社員時代には特に意識することもなかった経費も自営者になると全て自分で支払わなければなりません。

例えば、日常的に使うパソコン、ネット・電話などの通信費、車、事務所の賃料(自宅でも可能)など、すべてを自分で揃えなければならないのです。

パソコンなどは一つ買い換えるだけで20万円ぐらいはしますので、今月は売上が10万円も増えたと喜んでばかりいられないのです。

売上・・・経費を差し引く前の金額
所得・・・経費を差し引いた後の金額

あくまで年収となる所得の扱いは自身の手元に残る金額(会社員でいう給与)のことです。

また会社員では健康保険料などの社会保険料、厚生年金などを会社が半分負担してくれますが、事業主はすべて自己負担となるので負担は増えます。

さらには働く期間として定年はないものの、年金に備えて貯蓄しておく必要もあります。

最悪のケースに備えるという意味では、退職金代わりの小規模企業共済や連鎖倒産を防ぐ経営セーフティ共済などへの加入もしておきたいところです。

いずれも会社員時代には負担する必要のなかったものばかりです。

その分の利益を確保するというプレッシャーはあるかも知れませんが、経費が発生することはデメリットばかりではありません。

一定の利益を確保できているのであれば、いるかいらないか判断が難しいものも経費計上をすることで実質の所得を引き下げて確定申告することで、所得税など税金の節税効果を得ることもできるのです。

例えば、外食などの飲食代も接待交際費として使えば、節税対策に繋げる方法もあります。

しかし、課税所得を経費計上することで下げてしまうと金融機関の審査基準としては評価を下げることにもなりかねません。

融資を受けるケースでは所得証明として確定申告書などを提出することもあるので、先々のことも考慮しながら経費計上することがポイントです。

自営者は所得とシッカリと向き合うことが重要

自営業では誰も助けてくれないと言うと聞こえは悪いですが、自身の好きなことを仕事にしていくメリットの代償として自身で責任をもって事業を進めることが必須です。

従業員を雇っているのであれば自分以外の人件費も必要になるので、自分のことだけを考える訳にもいきません。

自由業としての印象も強くある自営業ですが、こと年収など収入金額をサラリーマン時代よりも増やせる・増やせないに関しては自身の頑張りに大きく左右されてきます。

脱サラというストレスフリーな安易な考えで乗り切れるものではないと考えましょう。

ただ、自営業では自身の好きなことを仕事にできるという大きなメリットがあります。

嫌いな仕事で高収入を得るか、収入は少なくても好きな仕事で毎日楽しく過ごせるかではどちらが幸せなのかは人によりけりです。

今はインターネットなどのクラウドソーシングなどで人脈がなくても出来る仕事は色々あります。

たった一度の人生を後悔なく過ごしたい、自分の力を試してみたいという方は自営業として開業することも検討してみてはいかがでしょうか。

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